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岡山・和気町の旧大國家住宅でチャリティー・チョコレート販売

チョコレート店「埜藝菓」店主の平井麻早美さん

チョコレート店「埜藝菓」店主の平井麻早美さん

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 チョコレート店「埜藝菓(のぎか)」(和気町)が7月17日・18日、旧大國家住宅一般公開に合わせチャリティー・チョコレート商品を販売する。

旧大國家住宅一般公開に合わせチャリティー・チョコレート

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 旧大國家住宅(同)は、江戸時代に栄えた大地主の大型民家で、主屋は1760(宝暦10)年、蔵座敷は1801(享和元)年に建築された。2004(平成16)年に国指定重要文化財建造物に指定された。2016(平成28)年まで見学ができた。

 今回一般公開を行うのは、主屋と蔵座敷。両建物には大規模な足場が設置され、屋根に葺(ふ)かれていた茅(かや)と瓦を取り外された状態を見ることができる。取り外された瓦は、1枚ずつたたき音を聞く打音検査を行い、破れていないものを再利用する。今後は、建物を約1.5メートルジャッキアップし、基礎や土台の敷き直しを行う予定。完成までは10年以上の期間がかかるという。

 主屋は、入母屋造の2棟を切り妻屋根の棟が連結した「比翼入母屋(ひよくいりもや)造」。上から見ると「エ」の字に見え、吉備津神社(岡山市北区吉備津)の本殿と同じの形をしている。現地では、竈門(かまど)のある土間周辺の柱、梁(はり)、天井、垂木(たるき)には、防火対策の土を塗った跡を見ることができる。

 蔵座敷は、構造は蔵だが1階部分を改修し、藩主や家老が訪れた時に接待する御成の間や茶室があった。文化財建造物木工主任技術者の芥川英祐さんは「部材の全てに番号をつけ管理し、くぎを打った場所、昔打っていた場所もチェックすることでどのように作られ、直されてきたかの歴史が分かる」と話す。

 チョコレート店「埜藝菓」は、昨年1月にJR和気駅前の元かばん店にオープンした。店主の平井麻早美さんは、和気町地域おこし協力隊として埼玉県から移住し、前職のマーケティングなどの経験を生かし、同町のりんごを使った炭酸果実酒商品の開発を行った。看板商品は、デザイナーのCOCHAE(コチャエ)さんが犬のパッケージデザインを担当し、メキシコ産カカオ豆を焙煎(ばいせん)するところから仕上げた「CHOCOMAINU(チョコマイヌ)」(810円)。

 チャリティー・チョコレートは、平井さんが旧大國家住宅をイメージして、タンザニア・グアテマラ・ベリーズの3国のカカオ豆を配合した。平井さんは「フルーティで夏でも食べやすい軽めの味わいにベリーズを少し多めに入れて深みのある味に仕上げた。カカオ豆によって酸味が口の中に広がるタイミングが違うところを楽しんでほしい」と話す。

 「和気町に引っ越してきて、自然なものを食べるなど暮らしの原点を考えることが多くなった。文化財とチョコレートという異色のコラボだが、日本の丁寧な暮らしを多くの人に知ってもらいたいという気持ちは同じ」とも。

 価格は1,000円。売り上げの半額の500円は旧大國家住宅保存修理費用に充てる。50個を用意する。

 一般公開参加は要事前予約。問い合わせは「学び館『サエスタ』」(TEL 0869-88-9110)まで。

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