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岡山のドッグフードメーカーが地元養殖業守る商品開発 駆除対象魚クロダイ使う

ドッグフードメーカー「ピュアボックス」開発担当者の佐薙壮介さん

ドッグフードメーカー「ピュアボックス」開発担当者の佐薙壮介さん

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 ドッグフードメーカー「ピュアボックス」(岡山市中区倉田)が現在、養殖ガキの天敵であるクロダイを使ったドッグフードの開発を行っている。

せとうち黒鯛やわらか干物

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 2003(平成15)年設立の同社では普段、産地から直接購入した食材を使い、栄養素を極力損わない調理法で保存料・添加物不使用のドッグフード作りを展開している。現在、「#ドッグフードにできること」キャンペーンを掲げ、市場に流通しない魚やコロナ禍で販売先を失った魚を買い取り、ドッグフードを製造する仕組み作りに取り組んでいる。

 商品開発のきっかけは、備前市日生(ひなせ)町のカキを食べてしまうクロダイの活用法を岡山県漁業協同組合連合会(岡山市南区浦安南町)から相談されたことから。同会によると、近年海水温度が上がっていることから初冬でもクロダイが活発に活動し、出荷最盛期の冬までに食べられてしまう養殖カキの被害が増えているという。クロダイは現在、瀬戸内海全域で駆除対象魚に指定されている。

 別名チヌと呼ばれる白身魚のクロダイ。日生町では、刺し身や塩焼きなどで食べられることが多く、学校給食のメニューにも採用されているという。今回のドッグフード開発には、備前市・大多府島沖でとれたクロダイを使う。

 現在開発している商品は、クロダイのうま味を生かした「せとうち黒鯛(くろだい)やわらか干物」、香りを生かした「せとうち黒鯛せんべい」、食感を生かした「せとうち黒鯛さくさくキューブ」の3種類。

 商品開発担当者の佐薙(さなぎ)壮介さんは「干物は歯の弱いシニア犬でも食べられるほど柔らかくした。クロダイの形を残し水分を抜くことでうま味を凝縮している。せんべいは骨や皮も一緒にすり身にして焼き上げ、磯の香りと香ばしさが特長。すり身をキューブ状にして乾燥させたおやつはガリガリと音を立ててかむ喜びを想定した」と話す。

 「犬にも人にも食べてもらい試行を繰り返した。まだどの商品を永続的に提供できるかは決まっていないが、多くの人に知ってもらい、犬が喜んで食べるドッグフードを届けながら、カキやノリを守る活動につなげていきたい」とも。

 同社では現在、クラウドファンディングサイトで開発商品の支援者を募集している。締め切りは11月15日11時。

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