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岡山の吉備路文学館で「小手鞠るい」展 舞台「ある晴れた夏の朝」上映も

吉備路文学館の明石英嗣館長

吉備路文学館の明石英嗣館長

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 特別展「小手鞠(こでまり)るい~本の世界~」が現在、吉備路文学館(岡山市北区南方3)で開かれている。

特別展「小手鞠るい~本の世界~」の展示1

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 同展は、岡山出身の作家・小手鞠さんが、「職業として成り立つような物書き」になりたいと当時、学習塾のフルタイムの仕事を辞めて本腰を入れた1984(昭和59)年から40年の節目での展示となる。

 会場には、1956(昭和31)年に備前市伊部で生まれた小手鞠さんが中高生の頃にどんな本を読んでいたのかを紹介するほか、大学時代にアンパンマンの作者・やなせたかしさんが当時編集長をしていた「詩とメルヘン」に出合うなどの年譜を展示。これまでの作品にまつわるエピソードを8章で紹介する。9章では、小手鞠さんがこれまで出版してきた絵本、児童書、ヤングアダルト図書、小説など約200冊に関わってきた編集者、挿絵作家、書店員、元副校長など83人のコメントを紹介する。

 「平和と戦争の3部作」と呼ばれる「アップルソング」「星散りばめたる旗」「炎の来歴」、「遠距離恋愛3部作」と呼ばれる「エンキョリレンアイ」「レンアイカンケイ」「サンカクカンケイ」のほか、なやせたかし追悼作品となる「優しいライオン」「テルアビブの犬」、岡山3部作、猫シリーズなど多くの作品と抜粋した文章も展示。

 アメリカに住む日系アメリカ人の主人公が、原爆の是非について高校生同士で公開ディベートを行う物語「ある晴れた夏の朝」を昨年5月に劇団うりんこが上演した。その舞台映像を10月13日と11月3日(共に13時30分~15時20分)、同館2階で上映する。

 11月17日(14時~15時30分)には、元RSKアナウンサー6人で構成する朗読グループ「おはなしのWA」が、小手鞠さんの作品「こんやはそっとおやすみなさい」「つい昨日のできごと」を朗読する。

 同館の明石英嗣館長は「やなせたかしさんの『悲劇的な話を優しく、美しく』という指導が小手鞠さんの原点にあると思う。展示物の中に『第7回詩とメルヘン賞』の表彰式があるが、文面に『偉大な詩人になるよりも、ういういしさを失わないやわらかい詩を書いてください』と記してある。見逃してはいけない小手鞠さんのターニングポイントがたくさんある。本を読んだことがある人も、展示を見て、もう一度読み返してみてほしい。まだ読んだことがない人は手に取ってほしい」と話す。

 開館時間は9時30分~17時。月曜休館。入館料は、一般=400円、大学・高校生=300円、中学・小学生=200円。11月17日まで。

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