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岡山で木版画家「清宮質文」生誕100年企画展 木目やハケの筋までが表現

ギャラリートークをする館長の岸本員臣さん

ギャラリートークをする館長の岸本員臣さん

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 岡山の瀬戸内市立美術館(瀬戸内市牛窓町牛窓、TEL 0869-34-3130)で現在、企画展「生誕100年 限りなく深く澄んだ詩情の世界 清宮質文展 2期」が開かれている。

夕日と猫を解説する岸本館長

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 木版画家の清宮質文(せいみや・なおぶみ)は1917(大正6)年、東京で生まれた。1942(昭和17)年に東京美術学校(現東京芸術大)の油絵科を卒業。慶應義塾商工学校などでの教員生活を経て、1953(昭和28)年から画業に専念。木版画の制作に取り組んだ。

 同企画展では木版画を中心に、106点を展示。ガラスに描いて一枚だけしかすられないモノタイプやガラスに水彩絵の具で描いたガラス絵なども見ることができる。亡くなる直前のアトリエを再現したものや、中原中也直筆の詩と版画をも展示している。両者が直接交流した実績は無いが、純粋な世界を追い求めた所などが似ているため、カップリングを試みたという。

 館長の岸本さんは「清宮は版木に色を乗せて紙にする段階までこだわり、アトリエですべての作業を行う。木目やハケの筋などが残るような表現が特徴で、代表的なモチーフは夕日やろうそくチョウ。はかないモチーフを追い続けた作風は、戦争で友人を失った影響が大きかったのでは」と話す。

 岸本さんは清宮について「1985(昭和60)年に木版画『むかしのはなし』を見て、心を動かされた。自分の心に入り込んでくる同作をどうしても手に入れたくなり、3年かけて探した。今でも見るたびに心が洗われる」と話す。

 開館時間は9時~17時。月曜休館。入館料は、一般=500円、65歳以上=400円、中学生以下無料。6月3日まで。

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