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岡山・表町の和紙店主が「金属製に見える箱」 水・衝撃に強く修理できる紙箱

「わがみや うめだ」の店主で和紙工芸家の梅田剛嗣さんが「金属製に見える箱」の作品を掲げる

「わがみや うめだ」の店主で和紙工芸家の梅田剛嗣さんが「金属製に見える箱」の作品を掲げる

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 岡山市北区表町にある「わがみや うめだ」(岡山市北区表町1)の店主梅田剛嗣(つよし)さんが現在、表具師と和紙工芸の技術を掛け合わせた「金属製に見える箱」を開発し、制作を続けている。

梅田さんが作成した「金属製に見える箱」

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 同店は1893(明治26)年に梅田さんの曽祖父に当たる梅田修三郎が表具店として開業した。びょうぶ、掛け軸、ふすまなどの需要が変化し、現在は和紙専門店として国内産の和紙のほか、タイ、ネパール、ブータンなどの手すき紙や紙製品を扱う。梅田さんは4代目店主で、和紙工芸家としても活動している。

 梅田さんは厚紙を使った箱に和紙をのりで貼り、柿渋、藍、ベンガラなどの染料や緑・紫・黒など色の墨をはけで染めて制作する。昨春に木製の器を加工して金属製に見せた作品をテレビで見て、ひらめいたという。メタリックな風合いは蒔絵(まきえ)の技法で金属粉をにかわで定着させて表現し、粗さの異なる雲母を載せてキラキラした雰囲気を演出。こんにゃくのりで自然なつやを出している。

 梅田さんは大学で農学を専攻した後、家業を継ぐことを考えて曽祖父の弟子であった表具師の下でびょうぶ作りを学んだ。約8年間かけて学んで表具師の基礎を習得した頃、梅田さんが独自の染め方をした作品を作ると、80代の師匠が賛同してくれたという。梅田さんは「斬新な作品を認めてくれて、師匠に恵まれた」と話す。

 梅田さんは「和紙は火に弱いだけで水や衝撃にも強い。箱は使い込んで色合いの変化を楽しめ、雰囲気を変えたいときや激しく汚れた時には貼り替えや修理も可能。軽くて丈夫な箱を店内で手に取り、ゆっくり見てほしい」と呼び掛ける。

 制作中の箱は14センチ×10センチ×高さ8センチのものから、半紙が入る41センチ×31センチ×高さ8センチまである。壁飾り、トレーなどの作品も手掛ける。10月31日から11月12日まで開催する個展「梅田剛嗣作品展 和紙の可能性II」(蕎麦+ギャラリー栂(とが)、和気郡和気町清水)に出品する150点を準備している。

 営業時間は8時30分~17時30分。日曜・祝日定休。

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