「ベーカリーレストラン・サンマルク」(岡山市北区大元2)が10月31日、倉敷芸術科学大学(倉敷市連島町西之浦)と連携した「美術館レストラン」としてリニューアルオープンした。
「ベーカリーレストラン・サンマルク」の「美術館レストラン」1
同店は、1989(平成元)年にグループ創業の地としてレストランを創業した1号店。季節ごとの洋食メニューと焼きたてパン食べ放題、ピアノ演奏など、食事に加えて「最高のひとときを創造する」を理念に営業してきた。
店内には同大芸術学部長の五十嵐英之さんの8点の作品を展示。テーマは「超えること~Transcendence~」。北欧で過ごした夏の記憶を元に描いた100号の油彩画には、飛び跳ねる少女が描かれている。中庭とエントランスには、アニメーターである中川浩一教授のプロジェクションマッピングを投影。QRコードを読み取れば、五十嵐さんの4点の作品はAR技術を使い、少女たちが動き出すアニメーションをスマートフォンの中で見ることができる。
中川さんは「AR作品は五十嵐さんの完成された作品とのバトル。既にある世界観を保ちながら、あったかもしれないもう一つの世界を表現を届けるのかを感じてほしい」と話す。
サンマルクホールディングスのサンマルク事業部・執行役員の野橋会京さんは「フランスやイタリアに行った際、レストランに当たり前に絵画がある。空間余白を利用して、心踊るような食のエンターテインメントを提供する。敷居の高いと思われがちなアートを身近に感じられる空間にしたい」と話す。
来春以降は、同大学の学生の作品の季節ごとの展示を予定しているほか、オークションを行うなど若い表現者の挑戦の場を提供する。今後は全国39店のベーカリーレストラン・サンマルクで「美術館レストラン」を展開する。
中川さんは「表現者としては、コンセプトやテーマが込み入ったものの方が作っているのは面白い。しかしながら、見ている人には伝わらないことも多い。これからの表現者は、自分の追求したい表現に妥協せず、大衆受けする作品を作るということではなく、見ている人の心を動かせる、分かってもらえる作品を作れるかが重要。人が面白いと感じるチャンネルは多様化していて、難しさも上がっている。若い表現者にはギャラリーや美術館を想定した作品作りではなく、『食』という日常の中に表現を持ち込むことで、自分の表現を変化できるかの学びの場となるはず」とも。
営業時間は11時~22時(土曜・日曜・祝日は9時~)。