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岡山の備前市美術館で北斎漫画200点 ガレやブラックモンなど陶磁器も

備前市美術館・学芸員の石川恵理さん

備前市美術館・学芸員の石川恵理さん

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 「浦上コレクション・北斎漫画~画狂!画驚!!画叫!!!」が現在、備前市美術館(備前市伊部)で開かれている。

「浦上コレクション・北斎漫画~画狂!画驚!!画叫!!!」の北斎漫画11編

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 葛飾北斎は、赤い富士を描いた「凱風快晴」や大波の向こうに富士が見える「神奈川沖浪裏(なみうら)」などを収めた「富嶽(ふがく)三十六景」で知られる浮世絵師。同作品は、現在の1,000円札やパスポートにも採用されている。19歳で絵師となって90歳まで絵を描き続け、森羅万象を描いたといわれる。米フォトジャーナル誌「LIFE」が1988(昭和63)年に発表した「この1000年で最も重要な功績を残した世界の人物100人」に日本人で唯一選ばれた。

 「北斎漫画」は、200人以上の弟子のために描いた絵手本として1814年に初版を出版。13編を作る途中で亡くなるが、1878(明治11)年に全15編が刊行された。「漫画」とは、心が動くまま、漫(そぞ)ろに描いた絵という意味で、現代の漫画とは異なる。

 浦上コレクションは、実業家・浦上敏朗さんが収集した浮世絵や東洋陶磁を中心とした作品で、2000点を超える。15編の北斎漫画を約1700冊所蔵し、その中でも「初刷り」と呼ばれる版画の最初200枚から、閉じられた冊子を解体し額に入れた約200点を展示する。

 このほか、銅版画家のフェリックス・ブラックモンやガラス工芸家のエミール・ガレなどの陶磁器9点を展示。ブラックモンは、日本から届いた陶磁器の緩衝材として使われていた北斎漫画を見て、モチーフにした食器セットを1867年のパリ万博で出展し金賞を受賞したことから、ジャポニスムの立役者とも呼ばれる。

 同館学芸員の石川恵理さんは「当時は娯楽でもあり、教養でもあった。9編では源義経の八艘飛びを描き、10編では庶民が八艘飛びをして遊んでいるところを描く。曲亭馬琴の『椿説弓張月(ちんせつゆみはりづき)』の挿絵を描いていたこともあり人気絵師だった北斎は、10編に『大尾』と記載して一度終わりにしたが、14年後に11編を刊行。墨と巻物と扇子(すみません)と絵で謝罪を表現するなど、ユーモアが随所に見られる」と話す。

 「北斎漫画にはストーリーがないといわれることが多いが、『西洋砲で海魔を撃つ』で打った球が、次のページの『海魔・狩人と大鳥』で登場するなど、現代の漫画に通じるところも見受けられる。13編には和気清麻呂、15編には桃太郎も登場する」とも。

 石川さんが卒業制作で作った視覚障害者でも楽しめる「さわれる富嶽三十六景・神奈川沖浪裏」も展示している。作品は凹凸で表現され、触って鑑賞する。4枚の絵に分かれていて、1枚目は中央にある富士山だけ、2枚目は3叟の船が増え、3枚目は波が増え、最後に完成する。同作には隠れ富士があり、目の見える人も見逃してしまうことが多いといわれるが、触れて鑑賞することで気付くこともあるという。

 開館時間は9時~17時。月曜休館。入場料は、一般=1,000円、備前市・赤磐市・上郡町在住の65歳以上=750円、その他在住の65歳以上=900円、学生=800円、中学生以下無料。3月8日まで。

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