岡山経済新聞(オカケイ)編集部&読者の希望者で毎月、岡山のカレー店を巡る「オカケイ・カレー部」第2回のリポートです。
「スリランカカレーワラン」(岡山市北区奥田南町)は、店主のブワネカ優梨さんが2023年7月にオープン。スリランカ人の夫・チャーマラさんと日本で出会い、結婚したことをきっかけに、岡山でも食を通じてスリランカを知ってほしいと考え、スリランカからシェフを呼び開店した。店名は、優梨さんが好きなスリランカの伝統的な素焼きの器「ワラン」から名付けた。
スリランカカレーのスタンダードは、ワンプレートにご飯と2~3種類の具材を盛り、混ぜ合わせながら食べる。スリランカは島国のため、魚を使う料理も多く、かつお節のチップや干魚でだしを取ることもある。この他に、スリランカで重要な食材であるココナツは、ココナツミルクをカレーによく使われる。インドカレーと比べて、バターなどの油分が少ないことが特徴でもある。
同店のご飯は比較的量が多い。優梨さんは「ご飯の量が多いのは、スリランカ人スタッフがおおらかでサービス精神が旺盛だから。日本人に合わせて量を減らすように伝えているのだが、気付けば大盛りになっている」と話す。
メインのカレーは、魚が主役の「アンブルティヤル」と「チキンカレー」の2種から選ぶ。「アンブルティヤル」は、カツオの切り身にスパイスのペーストをまぶして、バナナの皮で包んで蒸したもの。蒸すことで凝縮された魚のうまみとスパイスの酸味が特徴。カレーの他に、レンズ豆カレーとカボチャカレー、バナナの花とココナツ炒め、ココナツのふりかけ、サラダ、紅茶、ミニデザートがセット。ご飯は、独特の香りのする「バスマティライス」と日本米から選べる。皿の中心にご飯、その周りを囲むようにカレーと副菜を盛り付ける。ご飯の上には豆の煎餅「パパダン」を立てられる。ターメリックの黄色にニンジンやレンズ豆のオレンジ、サラダの緑や黄緑、チキンや魚の茶色と皿の上で彩りがあふれる。
カレー部員の感想は、スリランカカレーはいつものカレーと違う。ワンプレートに複数の食材をのせて混ぜて食べるカレーは他もある。汁気、油分の少ないスリランカカレーはプレート上で勝手に混ざらない。混ぜないで、カレーやとご飯、副菜とご飯、と一汁三菜の三角食べのようにも食べることができ、ビュッフェの楽しさや、少しずつ混ぜながら味を深めていくビビンバにも似ている。夏の暑い時期に、油分が少ないこと、適度な辛さであったことから最後までしっかり食べられた。胃腸への負担や、食後の口に残るヒリヒリ感も感じない。夏バテ防止に良いのではないだろうか。スパイスで体も温められ、風邪を治すために来る客もいるという。
これまで、オカケイカレー部では、南インドカレー、スリランカカレーを食してきた。しかしながら、「日本カレー」の奥深さもわかっているつもりだ。ここ10年ほどで、多くの店が生まれたスパイスカレー、カレーポットに入った欧風カレー、そのほかバリエーションがすごい。次回以降は、「日本カレー」にも挑戦していきたい。
(文=岡山経済新聞・杉原禎章)
第1回のカレー部
岡山経済新聞「オカケイ・カレー部」 第1回はパイシーパイス