フリースクール「HUGKUMI・育海(はぐくみ)」(岡山県笠岡市飛島)が9月19日、にオープンスクールを行う。
同校は、小学生から高校生を対象にしたフリースクールで、飛島に来年4月に開校を予定している。岡山県笠岡市の南部、瀬戸内海に浮かぶ大小30の島から成る笠岡諸島がある。笠岡港から約18キロの位置にある小飛島(こびしま)と大飛島(おおびしま)を合わせて通称「飛島(ひしま)」と呼ばれている。2つの島民は88人。高齢化率は80%以上。
同校代表の堂野博之さんは、2014(平成26)年から飛島でシーカヤックなどの体験活動を、通信制高校のスクーリングの体育や総合的な学習として行ってきた。島民と関わる機会も増え、過疎化や高齢化による人手不足で、草木が手入れできていないことを知り、生徒と除草作業をしたこともあった。
堂野さんは「学校に自分の居場所を見つけられない生徒もいる。生徒たちは、島民との関わりが増え、名前を覚えてもらえる関係性になり、他人に必要とされることを実感し始める。島では若い人の力を必要としていて、活動の中で生徒たちは自分のできることに気付く。積極的に活動する生徒たちの変化を見て、フリースクールを作ろうと思った」と話す。
同校スタッフの日置幸さんは、2017(平成29)年に飛島の文化を若い人へ伝える「飛島ガーディアンズ」を立ち上げた。飛島に関わった生徒たちが、卒業後も祭りやウオーキングイベントを手伝うようになったという。日置さんは「祭りではみこしの担ぎ手が足りないことや、ウオーキングイベントでは80歳の島民が案内したこともあった。若い人は、頼もしい存在となる。コミュニケーションが苦手な子どもでも、自然に他人と話せるようになる姿を見てきた。生徒たちは、活動の中でやりがいを感じ、行動する力が備わる」と話す。
同校では、詳細なカリキュラムはなく、生徒たちの成長に合わせて学習や活動を行う。2014(平成26)年に廃校となった旧飛島小学校の校舎を活動の拠点とする。シーカヤックやシュノーケリング、釣りなども体験できる。通信制の履修や卒業認定試験の学習サポートも行う。生徒は、週に1回の日帰りコース、週1回宿泊コース、長期滞在コースの3コースから選べる。
同校のコンセプトは、「リトリート・シェア・スクール」。通常の学校生活になじめなかった生徒の心と体を休められる存在を目指している。堂野さんは「私たちは、環境を提供するだけ。まずは島に来て、ゆっくりした時間を過ごしてもらいたい。島の自然に触れ、島の人と関わることで、自然に何かしようという気持ちが生まれる。学校の先生にも同校を知ってもらい、居場所を見失った生徒たちを任せてもらいたい」と話す。
当日は、シーカヤックなど海での体験活動と同校や飛島についての説明を行う。申し込みは、同校のウェブサイトから。