日本刀製作に用いられる木炭を使った消臭剤を4月9日、日ノ出化工(総社市宿)が販売を始めた。
同社は、1970(昭和45)年に創業し、給水タンクなどFRP製品を製造している。合成樹脂を加熱圧縮する技術を生かし約3年間、試行錯誤を繰り返し完成した。同社としては一般消費者向けの商品開発、販売は初めての試み。
材料の木炭は、「伝統工芸木炭生産技術保存会」(瀬戸内市邑久町)が製造する木炭の欠けたものや粉など商品とならなかったものを使う。同保存会は、「たたら製鉄」と呼ばれる日本刀の原料となる玉鋼(たまはがね)を作る時に使う木炭、日本刀を焼く時に使う木炭、漆器を研磨する時に使う木炭などを作っている。木炭製作の技術指導や原料木の植林などを行うため2団体が合併し2013(平成25)年に結成した。現在では、日本刀製作に使われるアカマツが枯渇し、木炭の確保が難しくなっているという。
同消臭剤の材料は、ナラ、ホオノキ、ツバキなどの広葉樹の木炭を用いる。同社の専務取締役・小野弘一さんは「木の種類によって凹凸の大きさや数が違う。120度で熱し、マツヤニとマニキュアにも使われるカイガラムシを使い、接着しながら木炭を圧縮する。圧縮することで体積を減らすことと、接着剤の量を減らすことで、においの吸着力を増す。自然素材だけを使った商品を作ることができた」と話す。
商品はハンガー状になった「SUMIYOI(スミヨイ)」(1,045円)と巾着状の「Organic Carbon Board(オーガニック・カーボン・ボード)」(750円)の2種類。クローゼットの中、キッチン、トイレ、靴箱などにおいが気になる場所で使うことができる。保育所や介護施設などの靴箱などで使われている。
同社のオンラインストアで販売する。