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岡山・高梁市成羽美術館で「千住博」展 四季を描いた滝など37点

高梁市成羽美術館の澤原一志館長

高梁市成羽美術館の澤原一志館長

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 岡山県の高梁市成羽美術館(高梁市成羽町)で現在、「千住博」展が開かれている。

千住博さんの作品・8色の「フォーリングカラー」

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 日本画家の千住博さんは1995(平成7)年、「第46回ベネチア・ビエンナーレ」で東洋人初の名誉賞を受賞した。前年にハワイのキラウエア火山を描いた「フラットウォーター」がニューヨークの美術誌「ギャラリーガイド」の表紙を飾った。美術評論家の伊東順二さんが推薦し、ベネチア・ビエンナーレで「ザ・フォール」を発表することになった。

 千住さんは1997(平成9)年から、千利休ゆかりの寺「大徳寺聚光院(じゅこういん)」(京都市北区)のふすま絵「滝」制作に取り掛かり、2013(平成25)年に京都本院のふすま絵が完成。2016(平成28)年、創建450年記念特別公開で初めて一般公開された。2018(平成30)年には、世界遺産の高野山金剛峯寺(和歌山県高野山町)に全長25メートルの滝を描いたふすま絵「瀧図」と16メートルの崖を描いた「断崖図」を奉納した。

 同展では、学生時代に描いた「遥か(青い鳥)」から、「フラットウォーター」、四季を描いた4枚の滝作品「四季滝図」、暗室に展示される赤・黄・緑など8色8種の滝「フォーリングカラー」、ベネチア・ビエンナーレと同時期に描かれた「ウォーターフォール」、新しいシリーズ「崖」、「At World’s End #18」、「朧(おぼろ)月夜の滝桜」など絵画34点と映像作品1点を展示。個人所蔵品のガラス作品「滝の花器」、ロイヤルコペンハーゲン陶版画「星降る夜に」も展示する。

 絵画作品にはアクリルガラスなどは付けず、直接絵画を鑑賞することができる。同館館長の澤原一志さんによると、千住さんが高校生時代に行った創画会の展覧会で岩絵具と出合った。この展覧会ではアクリルガラスなどが無かったため、同じように近い場所から見ることのできる展示を、千住さんは望んでいるという。

 澤原さんは、「星ふる夜に」の制作前、星空を見に千住さんを井原市美星町に案内したことがあるほど親交があり、20年以上の付き合いの中、ニューヨークのアトリエに2度行ったことがあるという。

 「滝シリーズはずっと見ていられる。春・夏・秋・冬の四季滝図、8色の色の付いたウォーターフォールでは、自分の内面と対話するような瞑想(めいそう)できる展示となっている。日本画を古典ではなく、現代アートとして世界に認めさせた千住さんの作品は、高野山金剛峯寺などこれから100年以上にわたって生き残る作品となる。地球の神秘を描き続ける千住さんの『At World’s End #18』ではどこか地球の終わりを告げる警告のようにも感じる」と澤原さんは話す。

 開館時間は9時30分~17時。入館料は一般1,000円ほか。岡山県に発出された緊急事態宣言により、6月21日までは高梁市民限定で入館可能。展示は7月24日まで。

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