美術作家の黒神奈美さんの個展「余白の美。」が現在、「PORT ART&DESIGN TSUYAMA」(津山市川崎)で開かれている。
岡山県出身の黒神さんは美術大学を卒業、アニメーションの制作会社や広告代理店を経て建築工務店に勤務し、インテリアコーディネートや建築意匠設計などを手掛ける。昨年、建築事務所「ORTHOGONAL」(神戸市)を設立しリノベーション事業などを行う。
同展は、黒神さんが描いた抽象画を約30点。会社員として務めている間はほとんど絵を描くことができなかったという黒神さん。描かなかった時期に感じていた「人が亡くなった後の自然の風景をどう感じるか」「寿(ことほ)ぐとはどんなことなのか」などのテーマで制作したという。
黒神さんは「人間は食物連鎖から外れてしまった存在だと大学生の頃から感じていた。人間を人間と規定するものは何かに興味がある。日本人の曖昧さなど視覚的な表現で伝えるのではなく、鑑賞する人が感じ考える余白を楽しんでほしい」と話す。
絵画の展示のほか、黒神さんが企画する「うつくしむ暮らしの道具」として、淡路瓦で製作された茶香炉「『KOU』芳」の展示販売を行う。「空間を構成する要素として、絵画や香りがある。会場は展示空間が好きで選んだ。この後はふすまやクロスも制作したい」とも。
開催時間は10時~18時。3月6日まで。