日本遺産の町並み・備中吹屋(ふきや)にある「黄金荘」(高梁市成羽町)で9月8日、建物にベンガラを塗る体験イベントが開かれる。
吹屋は江戸時代中期から銅山の町として発展した。銅の副産物である赤色顔料・ベンガラの産地ともなった。建物は外壁や格子をベンガラで染め、石州瓦の赤褐色で通りが赤く統一されていた。1977(昭和52)年に重要伝統的建造物保存地区に指定され、2020年に「ジャパンレッド発祥の地」として日本遺産認定を受けた。
当日は吹屋町並み保存会主催で、集会所として利用している「黄金荘」の格子や雨戸などをベンガラで塗る。ベンガラは赤と黒を5対1で配合し、油で溶いて使う。当日はメンバーの一人、佐藤商店店主の佐藤拓也さんの呼びかけで集まる約10人が参加する。
1977年に通り沿いの家を一斉にベンガラ塗りをして以来、それぞれの建物所有者が自主管理していて、長年ベンガラ塗りをしていない家も多い。数年前に通りの一部を塗ったとき、黄金荘の一部も塗ったがベンガラが足りず途中までしかできてない。塗り終わっていない様子を見て佐藤さんが発案し、今回のイベントとなった。
佐藤さんは「赤の鮮やかな町並みを保存していきたい。日本遺産にベンガラを塗る経験は貴重。今後は少しずつ参加者を増やし、保存会だけでなく多くの人で文化を守っていきたい」と意気込む。
保存会の戸田誠さんは「秋はアートイベントやヒルクライムなどイベントも多い。赤い町並みに訪れてほしい」と話す。