移動式ギャラリーバー「Kagiyama Galley Bar(カギヤマギャラリーバー)」が8月26日、「UNO HOTEL」(玉野市築港1)南側芝生で開かれた。
移動式ギャラリーバー「Kagiyama Galley Bar」の賀儀山泰志さん2
同ホテル内のギャラリーで11月30日まで、備前焼作家・森大雅さんの片口やぐいのみなどの酒器を中心とした作品を展示している。同店の出店は、展示開始日の8月6日に予定していたが、台風6号の影響で日程を振り替えた。
同ホテルはJR宇野駅前にあり、直島・豊島へ向かうアートを目的とした旅行客の滞在が多い。ホテル内外のアートについては、駅東創庫にアトリエを構えるアーティスト・山田茂さんがディレクターを務める。客室、レストラン、ロビーの廊下には、山田さんの作品も展示している。
アートディレクターを務める山田さんは「瀬戸内の環境で生まれた手仕事、卓越した技術に触れる機会を作った。ハイアートだけでなく、ローカルな作家や文化にふれ、もう一度訪れたい場所になってほしい」と話す。
同店は、「高原正伸建築設計事務所」(八浜町見石)が設計し、宮大工の杣耕社(そまこうしゃ)(岡山市北区御津紙工)が施工した。軽トラを改装した移動式の数寄屋建築が特徴。今回は、備前焼作家・森大雅さんの備前焼を数点飾り、日本酒を入れて提供した。
店主の賀儀山泰志さんは玉野市の出身。ケニアの大学で国際関係学を学んだ後、京都のベンチャー企業で海外営業を経験。その後フランスに渡り、フランス語とアートについて1年間留学し、2020年に帰国した。県外・海外に出て、地元にあるいいもの、おいしいものを再認識したという。当日も「十八盛酒造」(倉敷市児島田の口5)の日本酒・多賀治や松井一智さんが造るワインなどを提供した。
賀儀山さんは「移動式の店にしたのは、コロナ禍の影響もあったが、日本建築が移動することで、地方にある素晴らしい景色を愛(め)でることができ、海外にも発信することができると考えたから。営業時代に言葉の限界を感じ、アートを学ぶようになった。文化人やアーティストが点在する地方都市で、移動式のギャラリーバーが人をつなぐ架け橋となると信じている」と話す。
森さんは「自分の作品を使っているところを見るのは、とても幸せなこと。以前、ぐいのみを買った台湾人は茶を飲み、フランス人はエスプレッソを飲んでいた。世界の人に使ってもらえる作品を作っていきたい」と話す。