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岡山メルパで「カオルの葬式」先行上映 監督は地元出身・湯浅典子さん

岡山出身の映画監督・湯浅典子さん

岡山出身の映画監督・湯浅典子さん

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 岡山出身の湯浅典子さんが監督を務めた映画「カオルの葬式(Performing KAORU's Funeral)」の先行上映が12月8日、岡山メルパ(岡山市北区中山下1)で始まった。

映画「カオルの葬式(Performing KAORU's Funeral)」の出演俳優と監督の湯浅典子さん

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 湯浅さんは大学卒業後、テレビ制作会社に勤務。2013(平成25)年に独立し、テレビドラマの演出やプロデュースを行う。2015(平成27)年に初映画監督作品「宇田川町で待っててよ。」を劇場公開。短編映画「空っぽの渦」は国内外の映画祭で17の賞を獲得し、海外30地域以上で上映された。2018(平成30)年にはネパールの映画祭で審査員に選ばれた。

 同作品は、湯浅さんに立て続けに起きた友人たちの死に直面し、「なぜ人は生きるのか、なぜ人は死ぬのか」を考え始めたという。2017(平成29)年ごろ、映画にできないかと企画をスタートした。

 2018(平成30)年10月に開催された「MPA/DHU/TIFFCOMピッチング・コンテスト」でオリジナル長編映画企画がグランプリを受賞。2020年、東京映画祭・映画見本市で世界32カ国から250本の映画から20本のうちの一本に選ばれ、国際共同製作の機会を得ることができる。

 「コロナ禍で海外のメンバーが日本に来られない」「米国のプロデューサーが辞退する」などの場面があったが、チーフプロデューサーにシモエダミカさん、撮影監督にスペインのビクター・カタラさん、音楽監督にスペインのジョアン・ビラさんなどをチームに迎え、日本・スペイン・シンガポール国際共同製作長編映画の製作がスタートした。

 ストーリーは、一人の女性・カオルの突然の死、元夫の横谷潤に葬儀の喪主となることを記した遺言で始まる。

 映画の中で葬儀が行われる鏡野町の宝樹寺のほか、岡山市、津山市、笠岡市、真庭市などで撮影が行われた。綿谷みずきさん、八木景子さん、大峰凛さん、大岩主弥さん、額田信一さんなど岡山の俳優も出演している。上映する岡山メルパを経営する福武観光が映画に出資し、福武孝之さんはアソシエイト・プロデューサーを務める。

 湯浅さんは「人の死生観は人それぞれ。私はたくさんのメモを残しているが、映画を撮りながら変化があった。考え始めた最初の頃は、『生きるも地獄、死ぬも地獄』と記していた。途中、良寛和尚の言葉『散るも桜、残る桜も散る桜』のメモもあった。最後の方には、『それでも人は生きていく』と記してある。結局、よく分からない。生きるにも死ぬにも理由があると言えばあるし、ないと言えばない。とにかく生きていく。それだけ。余白の多い映画なので、それぞれの思いを巡らしながら見てほしい」と話す。

 海外の撮影チームと共同作業について、湯浅さんは「いつもなら詳しい絵コンテを作って、欲しい映像を伝える。今回はスペインの撮影スタッフにかなりの部分を委ねた。葬儀というドメスティックで独特な空気をどんな風に感じ取り表現するのかと期待をしていた。人は生まれ、死ぬということが普遍的なテーマであることや、葬儀の場で繰り広げられる滑稽な人間関係の奥底にある感情への共感があった。海外での上映に向けて、どんな反応が得られるのか、さらに楽しみになった」と話す。

 来年以降、映画祭の出品などを経て、国内外での上映を予定している。

 同館での上映開始時間は、11日~14日=13時25分~・19時35分~、15日・16日=15時30分~・21時40分~、17日=13時20分~。17日は上映終了後に舞台あいさつを予定している。

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