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林原美術館で記念展「平家物語絵巻」 アニメとコラボ、絵巻全36巻展示

林原美術館の学芸員・植野哲也さん

林原美術館の学芸員・植野哲也さん

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 開館60周年記念展「平家物語絵巻~絵巻とアニメ∞時代を超えて動きだす物語~」が現在、林原美術館(岡山市北区丸の内2)で開かれている。

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 同展は、同館が所蔵する全36巻の「平家物語絵巻」を、パート1(6月29日~8月4日)=「祇園精舎」から物語の前半、パート2(8月10日~9月16日)=後半に分けて開催。作家・古川日出男さんの現代語訳を元に、アニメ「けいおん」監督の山田尚子さんが手がけたテレビアニメ「平家物語」の場面と並べてパネル展示する。

 展示する絵巻は、江戸時代前期に作られ越前松平家が所蔵していたもの。日本で唯一全巻を完本で所蔵している。705場面、文章のみの詞書721枚に分かれ、1巻の全長約26メートル、全巻合わせると約940メートルになる。全巻を収納する「黒塗蒔絵箪笥(まきえだんす)」も展示する。

 現在、絵巻は半分の18巻、アニメは11話のうち8話までに相当する。絵巻の平氏軍が東大寺・興福寺などを焼き討ちする「奈良炎上の事」や清盛の最期を描いた「入道逝去の事」などの印象的な場面をアニメの映像カットと合わせて展示するほか、アニメのキャラクターの相関図も紹介。全体のあらすじが分かるように、アニメの最終話11話までの解説も展示している。

 このほか、平清盛の家臣で平家物語にも登場する妹尾兼康が収めていた現在の岡山市南区妹尾にあったとされる青江派妹尾鍛冶の「太刀・銘正恒(まさつね)」を展示するほか、平家物語を題材にした能の演目「小督」「祇王」「仏原」で用いられる能面、「琵琶・銘黄葉」や龍笛、能管(のうかん)、作中に登場する怪物の鵺(ぬえ)を退治する源頼政をモチーフにした刀剣の装飾金具「鵺退治図目貫」などを展示する。

 同館学芸員の植野哲也さんは「琵琶法師の楽曲と語りだった平家物語が、江戸時代などには絵巻が作られ、能などになり、現代ではアニメとして表現された。同じ題材を、時代を超えてトップクリエーターが制作した作品には人間の想像力、表現力に心が動かされる。表現の違いや手法など見比べながら楽しんでもらえれば」と話す。

 期間中、学芸員によるギャラリートーク(土曜)、琵琶演奏(8月18日)のほか、美術館講座「林原美術館蔵『平家物語絵巻』」(9月1日)では館長が平家一門の盛衰について話す。

 開館時間は10時~17時。月曜休館。入館料は、一般=500円、高校生=300円、中学生以下無料。開催期間は、パート1「平家の栄華」=8月4日まで、パート2「源氏の躍進」=8月10日~9月16日。

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