岡山出身・米ニューヨーク在住の油絵画家・秋山幸さんの個展「秋山幸展~HOME~」が7月17日、岡山県天神山文化プラザ(岡山市北区天神町)で始まった。
岡山出身・米ニューヨーク在住の油絵画家・秋山幸さんの個展「秋山幸展~HOME~」の作品1
今回が104回目となる「天プラ・セレクション」は同館が主催するもので、2006(平成18)年に始まった。推薦された岡山にゆかりのある作家のプラス部門と、全国から一般公募された作家のうち審査会で選ばれた作家のクロス部門の2部門がある。今回は、プラス部門の個展で、岡山県立美術館の学芸員の古川文子さんが推薦した。
秋山さんは、岡山市生まれ・津山市育ち。武蔵野美術大学・大学院を卒業後、2008(平成20)年に北京中美術大学に留学、2018(平成30)年から米ニューヨークに在住。ロックバンド・レミオロメンが2008(平成20)年にリリースしたアルバム「風のクロマ」のジャケットに作品が使われたほか、岡山県新進美術家育成I氏賞の選考作品に3度ノミネートされている。岡山での個展は、2011(平成23)年に奈義町現代美術館で開かれた「透明アンブレラ」以来。
作品は、27点のドローイングを含む45点。バックグランドの違う人が集まり暮らすニューヨークで暮らし、自分のアイデンティティーが際立って意識するようになったという。題名の「HOME」は、家族やルーツ、故郷や原点のように、出て行き帰ってくる起点となる場所として名付けたという。
秋山さんは「ニューヨークはコロナ禍でロックダウンになった。家から出ることができず不安な生活の中、感じたことを絵にするドローイングを日記のように毎日続けた。描くことと日々の生活が近くなったのと同時に、女性の手仕事や家事、見えない仕事などもっと手触りや身体的な感覚を重視するようになった。布を貼ったり、食べ物を描いたりもしている」と話す。
「モチーフのバナナは、ニューヨークでも東京でも中国でもスーパーで当たり前に売られていた。生活する文化圏とは違う異国の場所からやってきたバナナに、自分の知らない異文化世界との交流や、存在することの偶然性に美しさを感じる。2015(平成27)年、フィリピンにバナナを見に行った。フィリピンで見た看板や人物など、バナナがまとう文化も一緒に描いている」とも。
開催時間は9時30分~17時。観覧無料。今月28日まで。