「岡山ばら寿司(ずし)研究会」が旧堀和平邸(総社市総社2)で間借りでランチ営業をスタートして、3月13日で1カ月がたった。
岡山の「ばらずし」は、江戸時代の備前岡山藩主・池田光政が一汁一菜の質素倹約をするように倹約令を発した時、多くの具材を一つの器にのせた「ばらずし」としたことや、具材を酢飯の下に隠した「ばらずし」など諸説ある。文化庁の100年フードに2024年度に認定された。
現代では、祭りや結婚式などハレの日に地域の人たちが集まって作る「ばらずし」や、各家庭でそれぞれの味の「ばらずし」が作られてきた。具材は、瀬戸内で採れるサワラ、アナゴ、エビ、タコ、モガイ、ママカリ、イカなどの魚介類に、レンコン、シイタケ、高野豆腐、サヤインゲン、菜の花や里芋などの季節の野菜。酢飯には、酢と和三盆糖などの砂糖を入れる。
同研究会を立ち上げた次田寿生さんは、母親が住む総社市に大阪から通うようになり、井原鉄道の外国人観光客向けパンフレットを制作したことをきっかけに、地域の観光拠点になるものを探し始めたという。総社市在住の刀鍛冶・冨岡慶正さんの刀作りの体験などを動画など使って発信してきた。昨年10月には、外国人観光客に向けた「ばら寿司作り体験」を始めたが、参加者を見込むことができなかった。
次田さんは「ばらずしと言っても、豪華で高額なもの、駅弁になっているもの、スーパーの惣菜コーナーの安価なもの、地域の女性たちが家庭で作っているものなど多様。地域の女性たちに教えてもらいながら、50年前の総社の味を求めて試作を繰り返した」と話す。
前々日に大阪から来て、スーパーを回って頭付きのエビを探し、干しシイタケの水戻しをするなど下準備をして、2月から旧堀和平邸の日替わりランチ店「つながるカフェ線」の第2・第4の金曜・土曜で出店し、間借り営業を始めた。1992(平成4)年に福寿司の窪田晴一会長が執筆した「岡山の備前ばら寿司」や地元の主婦が作ってきたレシピを研究し、食べてくれる客と地元の味を聞きながら研究を進めている。
「瀬戸内で魚が取れなくなり、また『ばらずし』を作る機会が失われている。誰でもなるべく安く手に入る食材を使って提供している。研究のためにも、自分の家との味や作り方を比較して、教えてほしい」と話す。「ひな祭りやタケノコの季節など、まだ作っている家庭はあるはず。地域社会や家族のあり方が変わっても、みんなで作って、みんなで食べるという食文化を、家庭ごとの味がある『ばらずし』を通して継承していきたい」とも。
「ばらずし」は茶わん蒸しと一緒に提供している。価格は1,200円。
営業時間は11時~。3月は27日・28日、4月は10日・11日・24日・25日に提供。毎回1升(1.5キロ)を目安に作り、なくなり次第終了。予約、テイクアウトにも応じる。