岡山県立美術館(岡山市北区天神町、TEL 086-225-4800)で7月14日、特別展「傑作 浮世絵 揃(そろ)い踏み-平木コレクション」が始まる。
同展では浮世絵コレクションの一つ「平木コレクション」が所蔵する約6000点から約200点を選び、江戸から昭和初期までの絵師44人分を展示する。同コレクションは、戦後に浮世絵などが海外へ流出することを危惧した実業家の平木信二が作品を収集し、戦前からの三原コレクションと斉藤コレクションに増補されたもの。
同展のメインは、歌川広重の代表作「保永堂版・東海道五十三次」シリーズの初刷り55点、変わり図など35点の計90点。会場内の約50%を占めるスペースに展示する。同館学芸員の石田すみれさんは「初刷りは色の載せ方、ぼかしなど絵師の指示がダイレクトに反映され、版がすり減っていないので線がシャープに見える。後に異なる版木で刷られた変わり図などと、見比べてみると面白い」と話す。
喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎らの作品各6点のほか、菱川師宣、鈴木春信など著名な浮世絵師の作品が並ぶ。のちに津山藩の御用絵師となった北尾政美の「浮絵仮名手本忠臣蔵」全11枚も展示する。
石田さんは「なじみがある作品も含めて、一堂に浮世絵が楽しめる機会。江戸時代からの浮世絵の歴史を振り返ることができる」と話す。「西洋画に取り入れられ、現在も海外で評価される浮世絵を通じて、日本の文化を見直す機会になれば」とも。
7月29日と8月13日には「浮世絵、多色摺り体験!」のワークショップを行う。創作版画家のタイラ・コウさんが講師となり、8枚の版木を使って作品を作る内容。参加費は2,000円。7月18日までに要申し込み。
開催時間は9時~17時。月曜休館。入館料は、一般=1,200円、高校生・大学生=700円、小・中学生=400円、65歳以上=1,000円。8月29日まで。