競技の様子
津山工業高等専門学校(岡山県津山市 校長:佐藤 貴哉 以下「津山高専」)は令和7年8月23日に開催されたSMART四国ロボットチャレンジに参加し、優勝しました。
【SMART四国ロボットチャレンジとは】
自律移動型ロボットの大会であるSMART(Smart Mobile & Autonomous Robot Tournament)は、2000年に第1回大会を開催したのが始まりです。大会は、モノづくりやプログラミングにおける地域人材の育成と地域活性化を目的に、これまでほぼ毎年開催されており、中国・四国地区の大学、高専、高校から多くのチームが参加しています。ハードウェアとソフトウェアの両方に触れることができるロボット製作の過程を通じて、問題解決力、論理的思考力、コミュニケーション力の向上が期待されているイベントです。この数年間は、地域に密着した形で大会が開催されており、本校も教育の一環として「全系横断演習」のテーマの一つに取り上げています。
※全系横断演習とは
教員が提示したテーマ及び学生自身が設定したテーマに対して、専門分野の異なる数名のチームが取り組み、目標達成のために解決すべき課題を特定し、具体的な解決方法を実践的に体験します。この演習では、すでに習得している技術・知識を深化させることや、専門分野以外の新たな技術・知識を習得することが可能です。
【実施概要】
期日:2025年8月23日(土)
開催場所:愛媛県四国中央市 四国中央市立三島東中学校 体育館
主催:SMART四国ロボットチャレンジ2025 実行委員会
共催:四国中央市教育委員会
後援:一般社団法人電気学会四国支部
【実施の目的】
大会を通じて、モノづくりやプログラミングにおける地域人材の育成と地域活性化を主な目的としております。さらに、ハードウェアとソフトウェアの両面を体験することにより、問題解決力、論理的思考力、コミュニケーション力の育成も図っています。
【SMART四国ロボットチャレンジの競技内容】
《競技課題》Self-driving Challenge 2025
ロボットは、2分間の競技時間内に競技フィールドに配置された6個のペットボトルキャップの上にピンポン球を配置します。競技終了時に配置できたピンポン球の数で得点が決まります。同点の場合は、ゴールタイムやピンポン球を配置した時点での経過時間により順位が決定されます。なお、競技時間の前半1分間はリトライができませんので、ロボットにはできるだけ多くのピンポン球を正確に配置する機能と、正確にライン上を走行する機能が求められます。
【本校ロボットの強み(または技術的特徴)】
優勝を果たした学生が製作したロボットは、カラーセンサーを利用してライントレースを行い、黒色のラインの上を移動します。超音波センサーがキャップを検知した際に、ピンポン球を適切にキャップに配置することが可能です。ハードウェア的特徴として、6つのピンポン球を縦に積むことができるストレージを搭載しており、一番下にあるピンポン球を落とすためのピストン運動を伴うハンマー機構も備えています。この機構では、初期に複数のピンポン球が同時に落ちる問題があったため、ゴム製のパーツを追加して抵抗力を発生させ、1個ずつピンポン球を落とせるよう工夫しています。
ソフトウェア的には、ロボットがピンポン球を配置するキャップの位置を特定するプログラムに工夫を凝らしています。超音波センサーとキャップとの距離が6cm以下になった時点で、ライントレース動作からロボットがキャップの中心位置に移動する動作に切り替わります。まず超音波センサーでキャップとの距離を測定し、その後ロボットが前進し、再度距離を測定します。そして、最初の測定値から後の値を引き、負の値になるまでこの処理を繰り返します。このように処理を繰り返すことで、ロボットがキャップの中心付近で停止し、ピンポン球がキャップから落ちず安定して配置できるようになります。
本校のロボット
【参加した学生の感想】
大会前の数日間、朝から晩までロボットのハードウェアやプログラムの調整を行いました。そのため、大会当日は会場での調整がほとんど不要で、本番に臨むことができました。ロボットがスタートし、一度ライントレース動作に入れば、ほぼミスなくピンポン球を配置することができました。しかし、スタート時の初期位置に関する誤差を解決するためのプログラムやリスター用のプログラムも作成していれば、さらに得点を獲得できたと思います。
他校の学生が製作したロボットには、面白く実用的な機構が多々あり、驚きを受けました。このような大会に参加する機会があれば、今回の反省点を活かし、ロボットの機構やプログラムにおいて、他のチームに負けないものを作りたいと考えています。
【 津山工業高等専門学校について】
本校は、昭和38年(1963年)に実践的かつ創造的な技術者を養成する高等教育機関として創設されました。そして、産業構造変化に対応しつつ社会が求める教育研究システム構築のため、平成28年度に既存の専門分野である4学科を一つの学科「総合理工学科」へ再編・統合しました。本科は、1学科4系(先進科学系、機械システム系、電気電子システム系、情報システム系)で構成され、5年間一貫教育により、実践性と創造性を併せ持つ高度技術者を養成するための国立の高等教育機関です。異分野融合力とその基盤となる基礎科学をしっかりと学ぶことのできる学科で、確かな基礎科学を基盤とした高い専門性を身につけるとともに、分野横断的な融合力を備え、複雑・多様化する科学技術に対して課題の探求と具体的な解決策を提示でき、かつ人間や環境に対してグローバルな視点を有する人間性豊かな人材を育成することを目指しています。
さらに専門的な学習を行う2年間の専攻科(機械・制御システム工学専攻、電子・情報システム工学専攻)を有し、融合複合的な教育を行うことにより、国際社会で力を発揮できる中核的技術者を育成することを目指しています。
津山工業高等専門学校外観
【学校概要】
学校名:津山工業高等専門学校
所在地:岡山県津山市沼624-1
校長:佐藤 貴哉
設立:昭和38年
URL:https://www.tsuyama-ct.ac.jp/
事業内容:高等専門学校、高等教育機関