
「BASN対話型鑑賞ファシリテーション講座・高校生編」が6月7日、ベネッセ本社(岡山市北区南方3)で開かれた。
「BASN対話型鑑賞ファシリテーション講座・高校生編」の様子1
BASN(ベネッセアートサイト直島)の対話型鑑賞は、1980年後半にMoMA(ニューヨーク近代美術館)が、グループで互いの感想や意見を話し合いながら作品鑑賞を行うことで、観察力、批判的思考力、コミュニケーション力を育成できるプログラムとして学校現場での普及を目指して提唱したVTS(ビジュアル・シンキング・ストラテジーズ)を参考に作られた。
講師を務める福武財団・トップエデュケーターの藤原綾乃さんは「李禹煥(リ・ウファン)美術館」が開館した2010(平成22)年に入社。抽象的な作品を解説するのではなく、どんなことが気になったのか、考えたことを言葉にしてみるなど体験を通して、ベネッセ(=良く生きる)とは鑑賞者にとって、どういう状態なのかを主体的に考えるサポートする取り組みとして対話型鑑賞を始めた。
外部向けのファシリテーターの認定プログラムは2023年にスタート。現在、社内外で100人以上のファシリテーターを認定。高校生を対象とした講座は今回2回目で、前回受講した高校生の一人は受講後、大学入試の面接試験で対話型鑑賞をやって見せて合格したという。今回受講したのは、山陽学園高校(中区門田屋敷2)2年生の小松原慈(こころ)さん。
当日は、小松原さんと大人2人が同時に受講した。藤原さんによるレクチャーと、ベネッセ本社内にあるアート作品で対話型鑑賞を体験した後、2度のファシリテーターを実践した。
小松原さんは「いつも学校などでもファシリテーターのような役割をすることは多い。学校の学習ではどうすればいいかなどのガイドがあり、やるべきことに答えがあるが、対話型鑑賞ファシリテーターは答えがなく、難しい。何度もチャレンジすることで、自分らしいやり方が見えたようで楽しくなった」と振り返る。
藤原さんは「BASN対話型鑑賞では作品の解説や正解を求めることはしない。鑑賞者が持つ印象や解釈の根拠が、個人の価値観や記憶、経験とどのように結びついているのかをファシリテーターが対話の中で引き出していく。自分らしさの一つに気づく体験としてほしい」と話す。
高校生を対象とした講座は希望者があれば開催する。