
鳥瞰(ちょうかん)図絵師の中村慎吾さんのプロジェクト「岡山神社を鳥瞰図に描く」のキックオフイベントが9月30日、岡山神社(岡山市北区石関町)で開かれた。
鳥瞰図は、空を飛ぶ鳥の目線で上空から地上を斜めから見て描かれた絵。江戸時代の浮世絵師が描いたものや「大正の広重」と呼ばれた吉田初三郎などがある。
不動産会社に勤める中村さんが、業務で家や土地を紹介するに当たり、広さや価格、駅からの距離など数字で示せる指標ばかりだったことから、「街の雰囲気や愛着のようなものを伝えるため物件の鳥瞰図を描いてみよう」と思い付いたことがプロジェクト立ち上げのきっかけだったという。
同プロジェクトでは、「岡山」という名前のルーツにも関係ある岡山神社を中心としたおおよそ半径500メートル圏内をB1サイズ(縦1030ミリ、横728ミリ)の鳥瞰図に描く。10月18日に行われる「蚤(のみ)の市」の様子を描き、約100人を描く予定にしている。
当日は、中村さんが師事する鳥瞰図絵師、倉敷市在住の岡本直樹さんと神戸市在住の青山大介さんを招いてトークイベントを行った。司会進行は、市民発信型メディア「8bitNews」で番組「クリエコネクト」のMCを務める杉原禎章さんが務めた。
トークショーでは、鳥瞰図の描き方、縮尺の違いによる描けるものと描けないもの、どんな思いで鳥瞰図を描いているかなど、3人はそれぞれ違う視点で話をした。中村さんは「岡山神社に奉納し、100年後に残る作品にしたい。2025年の蚤の市や岡山のにぎわい、同じ時代に生きた人たちを描きたい」と話す。
来年からは2年かけて、戦前の岡山神社を描く予定。岡山空襲により岡山神社の本殿・拝殿などは焼失してしまった。地域の資料や当時を知る住民にヒアリングして描く予定だという。
鳥瞰図に登場する100人を募るため、現在、クラウドファンディング(CF)で協力呼びかけている。11月30日まで。