テラコッタ作家・永岡かずみさんの個展「呼応」が現在、ギャラリー「サンコア」(玉野市築港1)で開かれている。
大学で金属を使った彫刻を作っていた永岡さんは、1999(平成11)年高知県立美術館で行われたロダン展でテラコッタを使ったワークショップに参加したこときっかけに、2000(平成12)年ごろ、独学でテラコッタ作品を作り始める。試行錯誤していた頃、窯で焼いた作品が爆発して粉々に割れてしまったが、つなぎ合わせて岡山県美術展覧会(県展)に出品し受賞したことで自信がつき、表現を続けることを決意したという。
テラコッタは、低温で焼かれる素焼きのもの。永岡さんはひも状にした粘土を重ねていく。素地の色はサーモンピンクで、約1カ月をかけて乾かす間に彩色する。永岡さんは「埴輪(はにわ)や土偶と同じひも作りで全てが一点物。パステル調の色をのせ、土が呼吸している感じが好き」と話す。
同ギャラリーでは、2013(平成25)年から3年に1回のペースで個展を開催し、今回が4回目。作品は2015(平成27)年に作った作品1点を除き、50点が新作。これまでにもモチーフとしてきた「空の子」「雲の実」のほか、大型作品「交差する」など2点も展示。
永岡さんは「天気や草花、空や風など自然を日々の生活で感じ、気になる言葉をメモにしていく。造形をデッサンはしない。明確なコンセプトを作らず、『ポトンとしたもの』など頭に浮かんでくる形状を形にしていく。見に来てくれる人が、それぞれの物語を作って語ってくれるのはうれしい」と話す。
2023年10月にはポーランド彫刻美術館にポーランド、ウクライナ、ドイツなどから招待された5人の作家たちとレジデンス制作を行った。永岡さんは「高温焼成するセラミックの作家など自分と違う世界と出合うことで、テラコッタという素材と改めて向き合う機会となった。今回は物質的な土の粒子を表現として多く使った。これまでにも渦や花のように連続する模様は描いてきたが、もっと細かいドットや点描のような表現を使った。テラコッタと私、作品同士、見る人と作品が「呼応」する空間となってほしい。瀬戸内国際芸術祭も開催中なので、岡山の人だけでなく旅人にも来てもらい楽しんでもらいたい」と話す。
開館時間は10時~17時。10月29日は休館。入館無料。11月2日まで