鳥瞰(ちょうかん)図絵師の中村慎吾さんが描いた「岡山神社・鳥瞰図」の奉納式が2月21日、岡山神社(岡山市北区石関町)で行われた。
中村さんは大学でビジュアルデザインを学び、広告代理店でディレクターを務めていた。約3年前に不動産会社に転職し、まちの雰囲気を伝えられる鳥瞰図を描き始める。鳥瞰図絵師としての初の大作となる今回、現在の岡山城のある場所にあった860年ごろに創建された「坂下(さかおり)の社」を由縁とする岡山神社を描いた。
昨年5月ごろからカメラを持ち、岡山神社周辺を歩いて調査を行った。一方、鳥瞰図絵師・岡本直樹さんと青山大介さんに師事し、自らの描きたいものを探究し、そのための技術を磨いていった。9月に岡山神社で2人を招き同プロジェクトのキックオフトークショーを行い、同時にクラウドファンディング(CF)を実施。CFでは、鳥瞰図に描く人、ペット、車、バイクなどを募集し151人からの支援が集まった。
鳥瞰図は、岡山神社の周辺500メートル圏内をB1(縦1030ミリ、横728ミリ)に500分の1のスケールで、昨年10月の岡山神社・蚤(のみ)の市の様子を描く。岡山神社で結婚式をする人、十二単(ひとえ)を取り囲む人たち、ランニングする人、家族で遊ぶ様子など100人以上の人も描き込んだ。
当日は、岡山おもてなし武将隊の宇喜多秀家、黄ニラ大使の植田輝義さんなど約50人の参列者が訪れた。中村さんは「鳥瞰図はただの地図ではなく、思わず指さして、会話が生まれる奥行きのある絵として楽しんでほしい。100年後もできる限り色あせないような印刷技術を駆使し、触っても大丈夫な印刷をしてもらった。古材を使った額装をキノワさんに作ってもらった。未来に向けて年を重ねていくことが今から楽しみになった」と話す。
今後は、岡山空襲で焼失した木造の岡山神社の本殿拝殿などを復刻させた約100年前の戦前の岡山神社周辺の鳥瞰図を完成させる。写真などの資料を集め、当時を知る人の声を聞く活動を約1年かけて行い、2028年に岡山神社に奉納する予定。
「鳥瞰図に描いた2025年の景色は少しずつ変化して、昔になっていく。岡山神社に訪れて、今と昔、景色と自分の変化を訪れた人同士で楽しんでほしい。戦前の情報を集めるに当たり、協力を募りたい。過去の鳥瞰図を作ることで、地域の輪が深まっていくことを願っている」とも。
同鳥瞰図は、岡山神社の参集殿で常設展示しているほか、ポスター(A2)やポストカードも販売する。