岡山出身の作家・小川洋子さん著作を紹介する「POPコンテスト」が現在、作品を募集している。創立70周年記念事業で岡山県図書館協会が開催する。
同協会は、岡山県内にある公立図書館・私立図書館・大学図書館など95施設と300人の会員で組織している。1966(昭和41)年には相互貸借規定を設け、現在では所蔵データの共有を図り、岡山県立図書館にある所蔵を最寄りの各図書館から貸し出し・返却ができる。このほかの活動として、平成30年7月豪雨をきっかけに始めた浸水した書籍の修復についてなど、図書館職員向けのセミナーを開いてきた。
POPコンテストは、作家・小川洋子さんの著書を読んで、イラストや言葉などを用いて読みたくなるPOPを募る。POPのサイズは、ハガキサイズの100ミリ×148ミリ。画用紙などの破損しづらい素材で作製し提出してもらう。岡山県内に住んでいる人を対象に1人1点までとし、小・中・高校生、特別支援学校に在籍の児童・生徒から募集する「児童生徒の部」と「一般の部」を設けている。
選考基準は「本の魅力が伝わってくるか」「読みたい気持ちにさせるか」としている。小川洋子賞、岡山県図書館協会長賞、創立70周年記念事業運営委員会長賞を設け、それぞれ1作品を選ぶ。賞状と図書カードのほか、小川洋子賞にはサイン本も贈られる。
同協会の池田宜弥さんは「すてきなPOPには、本への愛情を感じる。小川洋子さんの作品から自分の一番好きな本についてお薦めしてほしい」と話す。
小川さんは、1991(平成3)年に「妊娠カレンダー」で芥川賞を受賞。2004(平成16)年に発表した「博士の愛した数式」が本屋大賞、読売文学賞を受賞し、映画化されるなど話題となった。「ブラフマンの埋葬」では泉鏡花文学賞、「ミーナの行進」では谷崎潤一郎賞を受賞するなど受賞作が多数ある。現在は芥川賞、太宰治賞などの選考委員を務める。
同コンテストに先駆けて昨年、ブックジャーナリストの内田剛さんの「POPの作り方講座」を開いた。今年、各図書館でも同様の講座を開催予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大により中止となった。
関連事業として、映画「博士の愛した数式」の上映会を行う。8月29日に岡山県立図書館(岡山市北区丸の内2)で、9月5日に真庭市立中央図書館(真庭市)で予定している。10月24日には各賞の表彰式と、小川さんの記念トークショーを岡山県立図書館で予定している。
募集は9月1日まで。