オハヨー乳業(岡山市中区神下)が3月8日、JR岡山駅で牛乳500本を無償で配布した。
配布の背景は廃棄の危機。3月から5月にかけて生乳の生産量が1年で最も多い時期に入る中、新型コロナウイルス感染拡大による学校給食が中止になり、カフェなどの外食店や洋菓子店での消費も減っている。昨年末には岸田文雄首相が消費の拡大を呼び掛けたこともある。これまでは、バターや脱脂粉乳に加工することで廃棄を免れてきた。
同社・広報課の野崎雅徳さんは「あまり知られていないが岡山は酪農県。酪農大学校があり、ジャージー牛を育てる熱心な酪農家も多い。酪農家のピンチをなんとか助けてほしいという思いから、牛乳の配布を行った。生産する乳製品の多くに岡山県内の牧場で搾乳した生乳を使っていることから、岡山の人にもっと牛乳のおいしさやよさを知ってもらい、牛乳を飲むきっかけになれば」と説明した。
岡山県の飼養戸数は200戸以上、乳牛は約1万6千頭と全国10位、中四国地方で1番多い。ジャージー牛は、北海道の次に多く全国で2位。岡山県の農業産出額では、米、鶏卵、ぶどうに続いて生乳が4番目に多い。
野崎さんは「乳牛からは出産後約300日間だけ搾乳できる。工業生産品とは違い、生き物から乳をいただいていることに感謝しつつ、人の都合での廃棄は避けたい。牛乳はコーヒーや紅茶に入れても飲める。春休みやゴールデンウィークは給食がなくなる時期なので、特に意識して飲んでもらえるとうれしい」と話す。