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岡山「旧大國家住宅」一般公開へ 左官職人の泥団子作りワークショップも

「泥団子作りワークショップ」を行う左官職人・鈴木誠さん

「泥団子作りワークショップ」を行う左官職人・鈴木誠さん

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 国指定重要文化財建造物「旧大國家住宅」(和気町)の一般公開が6月4日・5日、行われる。

ワークショップで作れる青色の泥団子

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 旧大國家住宅は江戸時代に栄えた大地主の大型民家で、母屋は1760年、蔵座敷は1801年に建築された。2004(平成16)年に国指定重要文化財建造物に指定され、2019(平成31)年3月から保存修理工事が始まった。

 今回の一般公開では、「揚前(あげまえ)」と呼ばれる状態を見ることができる。沈んでしまった部分のゆがみを直し、鉄道用レールを敷き、30機以上の油圧ジャッキで1.3メートル上げる。上げる作業は約1カ月かけて行われた。同工程をすることで解体を最小限にすることができ、この状態で約2年間かけて基礎・土台・柱足元を修理する。

 この後、建物の土壁の修理が始まる。使われている土は一度落とされ、敷地内にある長さ25メートル・幅5メートル・深さ1メートル以上ある敷地に集められ、わらなどをまぜ腐らせ、修理に使う土を作っている。新しく加える土はなるべく周辺の類似した土を探したという。

 建物の修理を行う文化財建造物木工主任技術者の芥川英祐さんは「同建物は約10年をかけて保存修理を行う。調査をしながら、部材の全てに名札を付け、できるだけ部材を残して修理をする。石、木、土、竹など自然のものしか使っていないので、修理をすればずっと使えるものばかり。当時の生活様式や建築技術を知れる教科書として、後世に伝えていける貴重な建物を見てほしい」と話す。

 当日は希望者を対象に、土壁の修理を行う宗本工芸所(浅口市金光町)の左官職人・鈴木誠さんによる泥団子作りワークショップも行う。あらかじめ用意した泥団子に漆喰(しっくい)の原料となる消石灰を塗り、赤・青・黄・白・黒のいずれかの色の付く酸化土類を重ね塗りし磨く。大津磨きと呼ばれる壁の仕上げに使われる技術を体験できる。

 見学会の開始時間は9時~11時、13時~15時からの30分ごと。参加無料。1回の定員は10人で予約が必要。申し込みは学び館「サエスタ」(TEL 0869-88-9110)で受け付ける。ワークショップの開催時間は9時~14時。参加費は1,500円(うち500円が保存修理工事に寄付される)。

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