岡山県立大学・デザイン学部の「卒業・修了制作展」が2月28日、天神山文化プラザ(岡山市北区天神町)で始まった。
コロナ禍の影響で、同展の一般公開は3年ぶり。2020年から、特設サイトやインスタグラム、ユーチューブを使って作品を紹介。昨年の会場展示は学生と家族など関係者だけの入場とした。
今年のテーマは「Re:build(リビルド)」。リビルドは「再建する」を意味し、コロナ禍で減退したもの、明らかになった社会問題をデザインで解決し、新しい価値観や生活様式を築き上げていきたいという思いを込めたという。
製品・情報デザイン領域では、加藤靖之さんの「スマートフォンアプリによる自傷行為の防止方法に関する研究」や、近藤葵さんの「性的同意を当事者間で伝え合う製品の研究」、小松紗依さんの「アクリル板アップサイクル製品の研究」など23点を展示。
建築・都市デザイン領域では、山本充さんの「脱避難タワー、みんなから愛される津波避難施設の提案『街と暮らす塔の日常』」、濱野颯良さんの「地域鉄道と過ごす『HITO to EKI』井原鉄道沿線の活性化計画」、井上皓平さんの「庁舎の分棟化による玉野市役所の改修『共する集落』」など17点を展示。
ビジュアルデザイン領域では、橘朱莉さんの「未就学児・小学生低学年を対象にしたSDGs教育絵本についての研究」、平岡あまねさんの「仮面の持つ有効性とアイデンティティとの関係性『ICON』」、藤原茉緒さんの「リサイクル着物を活用した着物の興味喚起のための研究『ルールにとらわれないキモノライフを提案するフリーペーパーKiraku』」など30点を展示。
造形デザイン領域では、岡野千優さんの「織の構造を生かした造形表現の研究~骨格の美しさを求めて~『orinasu』」、中井春花さんの「キャラクターを利用した劣等感軽減についての研究『Inferior rabbits』」、松藤桜さんの「暮らしに適した形に組み換え可能な家具『つみきのたな』」など14点を展示。
大学院・デザイン学研究では、梅田伸太朗さんの「手首角度を基にした曲面により前腕を一直線上にするグリップ形状の研究」、平井聖也さんの「モンタージュ理論を援用したラジオドラマ編集知の体系化『朗読/ラジオドラマ・Kの昇天 或いはKの溺死』」、水田美穂さんの「テキスタイル素材・技法を用いたイラストレーションの研究と絵本への展開『ORI→PLAY』」など6点を展示。
卒業・修了制作展実行委員長の鎌倉涼花さんは「私たちの学生生活は、コロナ禍の中、多くの授業をオンラインで受け、メールで課題を提出する日々だった。制約は多かったが、新たな価値観や生活様式が生まれ、当展では新しい社会を築く力を表現している。リアルな場所で作品を見てもらえるのはうれしい」と話す。
開催時間は9時~18時。入場無料。3月5日まで。