岡南飛行場(岡山市南区浦安南町)で6月30日、空飛ぶ車の実用化などに取り組む産業クラスター「MASC(マスク)」(倉敷市)が想定ルートの試験飛行をヘリコプターを使って行った。
マスクは2017(平成29)年、水島コンビナートに関わるものづくり企業を中心に任意団体としてスタートした。これまで笠岡や大分では、空飛ぶ車EH(イーハン)216での有人飛行を成功したほか、「大阪・国際万博」を視野に入れた淀川河川敷での試験飛行も行った。
当日は、マスクが空飛ぶ車を活用して行う予定の瀬戸内海の観光・遊覧・移動の3ルートの景色などの確認のためヘリコプターで飛んだ。機体はパイロットを含む4人乗り、ロビンソン社のR44にマスクの関係者など計15人が搭乗した。ルートはいずれも岡南空港を離発着地として、瀬戸内国際芸術祭が行われる直島、本州と四国とつながる瀬戸大橋と鷲羽山周辺、日本のエーゲ海と呼ばれる牛窓と小豆島とを往復する3ルート。
次回の試験飛行では、空飛ぶ車が飛ぶことができる上空150メートル以下をヘリコプターで飛び、ドローンと同じ上空LTE通信の電波測定を行う。
搭乗したマスクの坂ノ上博史事務局長は「あいにくの雨に見舞われたが、瀬戸内海の多島美を楽しむことができた。空から見る景色は格別で価値が高いことを改めて実感した。空飛ぶ車は、ヘリコプターと比べ、ヘッドセットなしで乗れるほど音が静かになり、陸上での騒音も解消される。国外・県外の観光客に瀬戸内海を楽しんでもらえるコンテンツとなるだけでなく、地元の人にも世界に誇れる場所だと再認識してほしい」と話す。
「空飛ぶ車の構想はまだまだ始まったばかり。誰も成し遂げていない事業であるので、着実に一歩ずつ進めていきたい。今後は宇野港や牛窓など離発着場の整備も進めていきたい」とも。
マスクでは、6月中旬にフランスのル・ブルジェ空港で開かれた「パリ・エアショー2023」を訪れ、操縦席のある5人乗りの空飛ぶ車の購入を決めた。