蓮岡匡浩さんの作品展「夢から醒(さ)める前」が4月11日、「GALLERY108」(岡山市北区南中央町)で始まった。
蓮岡さんは倉敷市児島出身。岡山県立大学デザイン学部造形デザイン学科を卒業後、企業に就職し、数年後に制作活動をやめてしまう。コロナ禍になり、岡山県立大学時代の担当教諭である関﨑哲教授に会いに行き、もう一度絵を描くことを勧められたことをきっかけに約12年ぶりに描き始める。2022年に高知、東北、礼文島・利尻島などを旅した後に描いた「旅行記 赤い大地への旅/雨と貫かれた雲」で今年3月、第16回岡山県新進美術家育成「I氏賞」大賞を受賞した。
今回の個展は、学生時代の作品と過去2年間で描いた作品の計20点以上を展示する。児島の龍王山から見た風景画「龍からの眺望」は、同展で最も大きな作品。向かって右側に描かれるキャラクターが気になり、搬入後、約1.5倍の大きさに描き換えられた。
蓮岡さんは「日常や旅を通して得たインプットは、無意識のうちにたまったものが、落ち葉が発酵して土を作るような感覚で自然に出ていく。学生の頃と比べると、丁寧に描こうとして大胆に手を動かすことが苦手になった。とにかく描き始める。描き始めて、途中からやりたいことが見つかってくる」と話す。
学生時代に描いた「乾す街」は、高い団地に囲まれ、ロープで洗濯物が干されている様子を描いている。どこかをモチーフにした訳ではなかったが、描いた後に想像していた風景と同じ街だったインドの街・シッキムを訪れたという。
「海外にもたくさん行ったが、山もあり、海もあり、工業地帯もある風景がやっぱりいい。人間のちっぽけさがテーマなのかもしれない。工場のような構造的で機械的なものが好きだが、人間中心的になりすぎる世の中に、気持ち悪さを感じることもある。一方的になり過ぎず、余白のあるえたいの知れない絵を見て対話してもらえるとうれしい。今後もたくさんの人に会い、ガス抜きをしてもらったり、考えをまとめてもらったり、違う価値観に出合い悩んだりして、作品を作っていきたい」とも。
開館時間は12時~18時(最終日は17時まで)。今月20日まで。