ビール醸造所「吉備土手下麦酒(きびどてしたばくしゅ)」(岡山市北区北方4、TEL 086-235-5712)が1月、宮城県東松島市産のオオムギを使ったクラフトビール「復興のたより」の販売を始めた。
2006年に創業した同社。醸造所は旭川に面した土手沿いに位置している。「街角の豆腐屋のような地ビール屋」をコンセプトに、地元の人に親しまれるクラフトビール造りを目指している。
新商品「復興のたより」は、宮城県東松島市産のオオムギ「はるな二条HKI」を100パーセント使う。岡山大学資源植物科学研究所教授の佐藤和弘さんらが、震災後から塩害に強いビール用のオオムギの研究を重ねてきた。岡山で宮城県産のオオムギを使ったビールを醸造することで復興を支援しようと、佐藤さんが同社の永原敬(さとし)さんに提案した。見た目は澄んだ薄い黄金色。エール系のライトな味わいとレモンのような爽やかな香りが特徴という。
「はるな二条HKI」は同市野蒜(のびる)地区で昨年6月、地元農家が初めて収穫した。収穫量はまだ少ないが、小ロットで醸造できる同社にとって好都合だったという。永原さんは「約40キロのオオムギから約200リットルのビールができる。復興の『便り』と『田より』の言葉合わせがビール名の由来となった」と話す。
売り上げの一部は、一般社団法人「東松島みらいとし機構(HOPE)」を通じてオオムギ栽培に関わる事業に寄付される。
価格は330ミリリットル入り=550円。同醸造所併設のレストラン「普段呑み場」でも販売する。