「岡山米友達(オカヤママイフレンズ)2025」が1月18日、クラフトビール店「Kawazu Brewing(カワズブルーイング)」(岡山市北区出石町1)で開かれた。
NPO法人「英田上山棚田団」理事長の井上寿美さんの「いただきます」
主催するNPO法人「英田上山棚田団」は2007(平成19)年、大阪の異業種の集まり「協創LLP」のプロジェクトとして、岡山県美作(みまさか)市・上山地区に通いながら棚田再生を始めた。現在は、上山地区に住む140人のうち移住者は40人となり、8300枚あったといわれる棚田のうち70枚で米作りに取り組んでいる。
同イベントは、棚田米を食べて友人を作ろうと2019(平成31)年から企画。これまで東京や大阪でも開催。2月8日に京都、3月には東京でも開催予定。炊きたてのご飯のほか、「高見味噌(みそ)店」(美作市)が棚田米で造ったみそを使ったみそ汁、のり、明太子、ままかりなど参加者が持ち寄ったご飯に合うお薦めのおかずを提供した。
ドリンクは、棚田米を使ったクラフトビールXPA(エクストラペールエール)「上山マイフレンズ」など10種類のビールを提供。店主の永原康史さんが「ホップの量の多いXPA製法で、大麦と棚田米を使った色の少し薄いすっきりしたビールになった」と説明した。
当日は、15年ほど前から大阪などから通う人、棚田の稲株を買える会員制度の「株主」など約30人が参加した。同団体の理事長・井上寿美さんが、米の品種をフクヒカリから「にこまる」に変え、例年4トンほどだった収穫量が5.5トンに増えたこと、秋の長雨や品種の変更による収穫時期の遅れ、土砂崩れやイノシシなどの対策など苦労したことなど報告した。「団体の理念『ライステラス ライフ照ラス』である棚田が人の暮らしを明るくするという思いを大切に今年も活動してきた。8300枚の棚田を多くの人と関われる場所にしたい。新米を食べて2025年も元気にいきましょう」とあいさつした。
同NPOの水柿大地さんが、年1回開催する株主総会からスタートした取り組みなどを報告した。株主から有志を募り野菜部を結成し、ジャガイモ・ホウレンソウ・水菜・春菊・白菜・チンゲン菜を収穫したという。子どもの遊べるボルダリングボードを製作し、今年は体験学習の機会も予定している。
現在の株主は約120人。1株(7,500円)で収穫に応じた米の配当(約5キロ)を受けられるほか、株主総会の出席、上山エリアにある大芦高原温泉「雲海」の割引やいろりの宿「zen」の特別価格での利用などの株主優待を用意する。