6月28日、後楽ホテル(岡山市北区平和町5)で「岡山県中小企業団体中央会」が主催する「商人塾」のプログラムが行われ、「まちゼミ」の手法で商店街の活性化に実績を持つ「岡崎まちゼミの会」松井洋一郎さんを招き講演会が開かれた。
当日用意された50席は満席となる盛況ぶり。参加者は主催団体に加盟する商店主や、地元の商店街関係者など。岡山県内の商店街振興組合が連携し「商人塾」などの意識改革を目的とした研修会の開催を行っているが、今回もそのプログラムの一つ。
講演のテーマは「商店街活性化事業 三方よしの『まちゼミ』とは」。まちのゼミナール「まちゼミ」は、愛知県岡崎市の商店街が12年ほど前から始めたもので、商店街の店主などが講師となり、その道のプロならではの専門知識や情報を、参加者に伝える少人数ゼミ。現在岡崎で産声を上げた「まちゼミ」は、全国67カ所以上の地域で開催され、「今年中には100カ所にも届く勢い」と松井さん。
講演の冒頭では、松井さんの地元岡崎市の20年前ごろからの商店街の状況を、具体的な事例や数字で説明。松井さん自身が化粧品、エステなどを商いとする商店街店主の一人。
「大型ショッピングセンターの乱立や、ネット、カタログ通販の隆盛、交通量は自分の幼少期の7分の1にまで激減した岡崎の地元商店街。そんな中で12年間さまざまな試行錯誤を経て、現在全国の商店主、商店街に推奨している『まちナビ』という考え方、サービスに行きついた」という。
個々の商店主などが「自分の持つ知識や技術を無料で伝える」ことで、まちナビを受講した生徒に「潜在的な見込み客」になってもらう活動を「継続」して行うことが「まちナビ」の原点。「即効性を求める場合もあるだろうし、即効的に効果が出る場合もある。が、本質的には漢方薬のように、じわじわと効果が出るので、決して商品やサービスを慌てて売り込まないことが鉄則。商店主一人一人の知識、技術、魅力を伝え、ファンになってもらうことが、最終的には商店街全体の活性化につながる」という持論を展開。
「決して箱や商店街ありきではなく『個人』と『個店』の活性化あっての『商店街の活性化』がキーだ」と松井さん。「商店街の価値は、モノからコトへシフトしていく」と90分に及ぶ講演を締めくくった。