どろ美術家・田計珠実(でんけいたまみ)さんのプロジェクト「コレクションどろ」のどろ発表会が12月2日、さざなみハウス(瀬戸内市邑久町)でスタートした。
同プロジェクトは、今年11月1日にスタートした。11月31日までを前期として、田計さんがデコレーションした軽トラック「どろ採集車」で一般の人から「どろっぽいもの」を集めた。田計さんは「実際の泥でなくてよく、その人が持つ泥っぽいイメージを集めた。野球のグローブ、600ページのアイドルインタビュー本、泥のように寝るお父さんなど、想像もつかないものやエピソード、未知の世界が集まった」と話す。
後期として、12月2日から「前期で収集したどろ」と「田計さんのどろコレクション」、「ぬかつくるとこコレクション」をさざなみハウスで展示する。12月6日には、アートを活用した生活介護事業所「ぬかつくるとこ」(早島町早島)の中野厚志さんをゲストに迎え、田計さんとさざなみハウス店主の鑓屋翔子さんでトークショー「なんでそんなん」を開催する。
同事業所では、コンセプトがない、本能的に楽しいから作られる作品やイベントを行っている。さざなみハウスのある国立療養所長島愛生園では、これまでもハンセン病患者が制作したアート作品などが数多くある。
京都市出身の田計さんは、大学で現代美術を学び、型にはまったアートではなく自由な泥に対しての思いがあったという。障がい者にしか演じられない身体表現を追求する大阪の劇団「劇団態変」のスタッフをした後、2013(平成25)年に岡山へ引っ越し、備前焼の修業をした。
「備前焼の土に触れて学んできたが、もっと柔らかい自分の発想の外側を目指して、どろ美術家となった。『どろあそび実験中』の屋号で、泥を投げたり、被ったり、踏んだりしながら、想像もしなかった形や表情を作り出している。同時に泥ではない『どろっぽいもの』の収集をし、愛おしく思う泥の存在を収集に参加してくれた人や展示を見にきてくれる人とも共感できるコミュニケーションツールだとも思う」とも。
同展示の「どろっぽいもの」を集めた図録「どろ本」を制作する。特装版(3,300円)と簡易版(1,100円)の2種を12月27日まで予約販売している。書籍内には、田計さんの4コマ漫画「どろんちょな日々」も収録する予定。
開催時間は8時~16時。月曜・火曜定休。今月27日まで。