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岡山・宇野で「瀬戸内ゴミンナーレ」 ごみの発泡スチロール性の仏像など

発泡スチロールを使って制作した涅槃像と淀川テクニックの柴田英昭さん

発泡スチロールを使って制作した涅槃像と淀川テクニックの柴田英昭さん

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 ごみを使ったアート展「瀬戸内ゴミンナーレ」が現在、旧玉野市消防署(玉野市宇野)で開かれている。

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 日本財団と京都大学の共同事業・京都大学森里海連環学教育研究ユニット「RE:CONNECT」が主催。代表の伊勢武史さんらは、スマートフォンで撮影した浜辺や水辺のごみの画像を人工知能を使い解析するアプリ「PicSea(ピクシー)」の開発などを手掛けている。

 同展の製作総指揮を行う「淀川テクニック」は、2010(平成22)年の「瀬戸内国際芸術祭2010」でごみを使ったアート作品「宇野のチヌ」を制作。滑り台として通り抜けられる作品「宇野コチヌ」を2016(平成28)年に制作したほか、淀川テクニックの柴田英昭さんの出身地・真庭市の久世エスパラント(真庭市)には「真庭のシシ」、「mt」を製造するカモ井加工紙(倉敷市)の廃材を使った象の制作も行った。

 同展は柴田さんと親交のある4人のアーティストによる作品展示と、2月20日に行われたワークショップで作られた33作品を展示する。

 柴田さんは、会場入り口の花輪と発泡スチロールを使って制作した涅槃(ねはん)像「ホワイトニルバーナ」に2点を展示する。江戸時代の僧侶・円空が全国各地で木彫りの仏を5300体以上作ったことを知り、各地で捨てられたごみを使って制作をしてきた柴田さんは、円空の気持ちになり涅槃仏を製作したという。

 吉田一郎さんは、歩き始めた子どもから見た大人のサイズ・約3.6メートルの作品「おおびとさん」など、太平洋の漂流ごみと布を使った作品を展示する。

 海ごみアーティストのあやおさんは、傘などごみを使った作品「ゴミクラゲ」を展示。天井からつるした数体のほかに、一緒に写真を撮れる作品もある。石川県で活動するあやおさんは、マンボウ、ハコフグ、イルカ、ペンギンなどごみで制作された動物作品の展示も行う。

 Mishio(ミシオ)さんは、町で見つけた捨てられたごみに顔を描き写真に残すシリーズ「残されたゴミに顔を描く」を展示する。どこに落ちていたのかを記す地図と共に展示する。顔を描かれたごみは拾われることはなく、地図も記号のようになっていてほとんどの人は地図だと分からないという。

 出川晋さんは、使われなくなったぬいぐるみや漂流物を収集し、作品を制作する。展示する「ミズモシタタルイイゴミクズ」では、横4.2メートル、縦3.6メートルの木枠に、色あせたプラスチックごみなどの収集物を貼り、水を滴らせる。落ちた水は循環してまた滴る仕組みとしている。

 柴田さんは、2003(平成15)年の淀川フェスティバルでごみを使ったアート作品を初めて展示した。「ごみ問題や環境問題として語られることが多いが、アートには目線を変える力がある。ごみだった発泡スチロールが仏に変わり、どこかありがたくなったり、手を合わせたくなったりする。作家やワークショップの参加者とごみの可能性を考えることができた。『ごみが何かになーれ』の思いを込めて『ゴミンナーレ』と名付けた」と同展について話す。

 「どこで拾われたごみなのか、どんな場所に集まってきたのかに興味がある。無用なものだと捨てられたごみが人の意図とは関係なく、漂い集まる。浜辺には、どこから来たのか、いつからいるのか分からない、場所も時間も超えたはざまが存在する。今後は、どこにあるのかさえ分からない『太平洋ゴミベルト』のごみを使った作品を作ってみたい」とも。

 開催時間は12時~19時(土曜・日曜は10時~)。3月15日まで。

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