岡山出身の彫刻家・灰原愛さんと「徳永こいのほり」(和気町)が共同開発したひな人形「花の宴(うたげ)」の予約を現在、同社で受け付けている。
女雛の写真1 「徳永こいのぼり」が共同開発したひな人形「花の宴(うたげ)」
同社は、日本画家の徳永春穂(しゅんすい)が1947(昭和22)年に創業。年間約150万匹のこいのぼりを生産するほか、ひな人形や五月人形、節句のぼりなどを販売している。近年は、専用アプリを使い、自宅の庭にこいのぼりを設置したイメージを再現できる「AR鯉(こい)のぼり体験」や、パステルカラーの配色で積み木のように遊びながら飾れる五月人形やひな人形のシリーズ「Puca(プーカ)」も取りそろえる。
「花の宴」は、アーティストと共同開発シリーズ「Atelier(アトリエ)」の第1弾として発表。店長の目賀大輔さんによると、伝統的なひな人形に怖い印象を持つ子どもが増えたため、新しいひな人形を検討していたところ、豊かな表情とや細かな仕草を表現する灰原さんの彫刻に感銘を受け、制作を依頼したという。
灰原さんは、木彫りの彫刻に淡い色のアクリル絵の具で着色した人形を制作する彫刻家。2011(平成23)年には、岡山県に縁ある新進気鋭の美術作家に与えられる「I氏賞」で奨励賞を受賞した。
目賀さんは「ひな飾りは天皇・皇后の結婚の儀を表現していて、子どもの幸せを祈る習慣だった。時代の変化に伴い丸みを帯びた輪郭や自然な化粧、髪の編み込みや頭の花飾りなど、現代の価値観に合うデザインにした」と話す。
目賀さんは「着物の模様やしわなど細部の彫刻や下地の色が透けるほど薄く色を重ねる塗装は職人が手作業で行う。子どもが欲しいと思ってもらえるひな人形を目指した。家族で見られる場所に置いて、贈られた女の子の宝物になるとうれしい」とも。
価格は23万8,000円。100組限定。