同人誌「集まれ!おかやま第2号~名もなき素敵(すてき)な景色たち~」が刊行されて1月31日で1カ月がたった。
同人誌「集まれ!おかやま第2号~名もなき素敵(すてき)な景色たち~」に掲載されている「燃えろ岡山」
同シリーズは、一幡公平さんが「岡山県内の観光名所ではないが、すてきな風景」を集めて発行した同人誌。10年以上前から全国の廃虚を巡り写真に収めていた一幡さんは、2021年に武部将治さんとのユニット「ムサシノ工務店」で出版した「岡山懐古紀行」をきっかけに岡山県内の魅力再発見を意識するようになったという。
第1号では、「団地の群れが美しい」「街角天文台」などを岡山県内の114カ所を写真に収めた。今回は12のテーマを設け、153カ所の写真と文章で「名もなき風景」を伝える。
一幡さんは仕事で岡山県内を移動することが多いことから、予期せず見つけたものもある。高台から広がる麦畑が一望できる公園や瀬戸内海を隔てて香川まで見える海の近くの公園などの「絶景公園」を紹介する。
「倉敷駅付近レトロさんぽ」のページでは、倉敷美観地区ではなく、ガイドマップには載らない「国鉄倉敷駅」の看板や規則的なカーブを描く道「倉敷競馬場跡」、銭湯の煙突などエリアマップを掲載。
「燃えろ岡山の跡」のページでは、1985(昭和60)年にスタートした「燃えろ岡山県民運動」で各地に登場した標語や看板を紹介。1988(昭和63)年に瀬戸大橋の開通や新岡山空港の開業を控えていた岡山は「見直そうふるさとのよさ」など当時の78市町村がスローガンを掲げ盛り上げていた。岡山市北区京橋の河川敷には、30メートル以上あるロゴマークが今も残っている。
「鉄道から見える古い看板」のページでは、香川の菓子「名物かまど」の看板を紹介している。現在の社名ではなく、1951(昭和26)~1970(昭和45)年に製造していた「荒木屋」の名前の看板が今も残っているという。玉野市・宇野駅から見える丘に掲示された「玉野競輪」の看板も紹介。看板近くに放置されさび付いた「ん」の文字を発見した一幡さんは、1964(昭和39)年に撮影された東京オリンピックの聖火輸送船の背景に写る「金時あん」の看板を発見し、丘に登り放置された看板を調査したルポも掲載している。
一幡さんは「どこにでもあるようだけど、どこにもない風景が岡山県内にたくさんある。岡山には何もないと言う人もいるが、知られていない、発見できていない面白いものがたくさんあることに気づいてほしい」と話す。
仕様は32ページ。価格は770円。丸善さんすて店、喜久屋書店倉敷店、451ブックスなど県内の書店、アマゾンなどで扱う。