岡山後楽館高校(岡山市北区南方1)の生徒3人から成る「生理革命委員会」が現在、県内の公立高校63校のトイレに生理用品を置くための署名活動を行っている。
同校では、「総合的な探求の時間」として週2時間の授業を行っている。1年生の授業では「SDGsとは何か」などの学習の後、グループで課題を設定して探求する。同委員会メンバーの山領珊南(やまりょうさんな)さんが、生理のある人は生理用品に多くの金額を使うことを祖母と話したことをきっかけに、課題に感じたという。
委員会メンバーの澤田まりあさんは、まず「生理の貧困」について考えた。内閣府男女共同参画局の定義は「経済的な理由で生理用品を購入できない女性や女の子がいる状態」としているのに対し、アメリカ医学女性協会の定義は「生理に関する衛生的な手段や教育が、十分に行き届いてない状態」としている。生理用品を手に入れられないのは経済的な理由だけではないこと、女性や女の子と限定的なこと、生理についての教育があることで理解が広がることなどを定義から感じた。
昨年10月、委員会メンバーはアンケートを行った。同校1~3年生の333人に、「生理のある人」用と「生理のない人」用を両面印刷したアンケート用紙を配布して、各9項目について答えてもらった。
「生理のある人」の回答には、「経済的な理由で生理用品を買えなかったことがある」と答えた人はわずか1人。一方で「経済的な理由から生理用品を交換する頻度を減らした」と答えた人は約9%の19人だった。保健室でナプキンをもらえることを知らない人は約17%いた。
「生理のない人」には、「生理用品の処分方法」「生理について友人と話したことがある」などについて質問した。「生理用品の無償配布」については、約93%の人が「良いと思う」と答えた。
アンケート結果を受けて昨年11月、よく使われる3カ所のトイレの個室全15室に、生理用ナプキンを5枚ずつ入れた箱を1カ月間設置する実証実験を行った。毎日、放課後に使用枚数を集計し補充した。
前月の保健室で渡された生理用ナプキンの枚数が20枚だったのに対し、11月トイレで使われた枚数は506枚だったという。置き始めた当初は、困っていなくても無償だからという理由で使った人も多かったが、後半は1日15枚の使用に落ち着いた。「助かった」「またやってほしい」の声がメンバーに寄せられたという。
12月には「SDGsネットワークおかやま」が主催したシンポジウムに登壇。ひとり親家庭を支援するNPOや瀬戸内市の職員、岡山市議、岡山県議などと意見交換した結果、同委員会は、署名活動して行政が動いてくれなくても、自分たちで生理用品を調達できるようにクラウドファンディングを実施することを考えたという。
メンバーの山形萌花(もか)さんは「同じ高校生に署名してほしい。住所を書くことに抵抗がある人もいることを考え、学校名と学籍番号で署名できるようにした。テーマカラーを赤やピンクではなく、中性的なオレンジにし、ジャンヌダルクのようにインパクトのある『革命』を名乗って楽しく活動している。高校生でも社会を変えられるという実績を作るため、仲間も募集している」と話す。
署名は岡山県、岡山県教育委員会へ届ける。山領さんは「今後、中学校や高校、大学など学外でも伝える活動をしたい。一緒に話すことでハードルをなくしたい。生理は、生理のある人だけのものではない。自分が生まれたのは、生理があったから。自分のために生理があると思えるような社会になるのが理想。声に耳を傾けてほしい」と話す。
クラウドファンディングは2月13日にスタート予定。