三輪自転車タクシー「ECYC(エシク)」の実証実験が4月8日、岡山市内でスタートした。主催は天満屋・アセットマネジメント事業本部。
同事業は、百貨店を経営する天満屋が3年前に立ち上げた社内ベンチャー制度の中で選ばれた事業の一つで、昨年5月・6月にも実証実験を行った。実験では、車体のラッピング広告の需要、タクシーとしての需要、観光・アクティビティーとしての需要を測定する。
同本部・部長の野村拡毅さんは「米国ロサンゼルスに旅行した時、たくさんの観光地を公共交通だけで回遊することが難しく、日本人タクシードライバーに一日貸し切りで案内してもらったことがあった。目的地や観光地に向かう移動時間も楽しい体験をしたことから、この事業を構想した。風を感じ、視野が広く、ゆっくり進むエコな自転車に乗る非日常な体験は、きっといい思い出になると思う」と話す。
料金は初乗り500円、以降500メートル進むごとに500円加算。目安料金としてJR岡山駅から岡山後楽園までの乗車で1,000円。運行エリアはJR岡山駅東口側、柳川交差点を中心に半径2キロが目安。主な待機場所は、岡山後楽園入り口、岡山城周辺、天満屋岡山本店・アリスの広場など。空車の場合はどこでも手を挙げて乗車することができる。
エシクを使った観光ガイドツアーも行う。岡山城、岡山後楽園、ハレまち通り、岡山市民会館、桃太郎大通りなどを通る約40分のコース(4,000円)と約60分のコース(6,000円)を用意。ドライバーも行う野村さんは「観光名所の案内だけでなく、パブリックアートや飲食店情報、歴史や建築、マンホールの話までガイドブックには載っていない話もする。質問を頂くことで、どんどん知識が増えていき、地元の飲食店などの情報も集まってきた」と話す。
車両は、フランス・リヨンで製造する「シクロポリタン」を採用。座席は幅1メートル、最大重量225キロ。シートベルトとヘルメットも備える。車体には、岡山出身イラストレーターのハシズメユウヤさんが描き下ろした作品を掲出。目から涙がこぼれ落ちる「eyewater(アイウオーター)」シリーズの作品で、天満屋の包装紙に約30年前に使われていたハイビスカスを配している。紅ハイビスカスではなく、「晴れの国岡山」から連想される青い空のような青いハイビスカスにしたという。
野村さんは「インバウンドの観光客だけでなく、カップルや高校生、70代の女性など地元の人にも乗ってもらっている。病院や塾の送り迎えなどゆっくり進む同タクシーを日常的に使ってもらえるとうれしい」とも。
運行時間は10時~17時。水曜・木曜定休。雨天運休。実証実験は5月30日まで。