「子ども図書館ほたる」(赤磐市馬屋)が8月2日、赤磐にオープンした。
同館は、生活雑貨やインテリアなどの企画製造販売を手がける「アクシス」(岡山市北区下中野)の創業者で「螢(ほたる)學舎」理事長の大槻順一郎さんが企画する私設の図書館。大槻さんは10年ほど前から、主にネパールに10館の図書館を寄贈してきた。
アンティークなものが好きな大槻さんは2015(平成27)年、同館を開いた建物を当時の所有者だったベネッセコーポレーション(北区南方3)から購入し、使い道を考えていたという。子どもの頃に読んだ堀江謙一さんの著作「太平洋ひとりぼっち」に感動し、世界へ飛び出す勇気をもらった経験から、本と出合える図書館を構想した。
同館の建物は、1910(明治43)年に現在の久米南町に赤坂高等尋常小学校として江川三郎八が設計した。1973(昭和48)年、校舎取り壊しを聞きつけたベネッセコーポレーション創業者の福武哲彦によって、現在の場所(旧高月小学校跡地)に移築した。2018(平成30)年に文部科学省から登録有形文化財として登録されている。
2階の講堂があった場所を改装し、蔵書3000冊以上を準備する。書棚は、アート、デザイン、暮らし・インテリア、植物・エクステリア、建築、冒険と好奇心、絵本の7カテゴリーに分けられた本は、約2000冊が寄付によって集められた。
建物のほぼ中央にある壁に、猪熊弦一郎の作品「デモクラシー」の複製が描かれている。同作品は1949(昭和24)年、慶応義塾大学の谷口吉郎が設計した学生ホールの壁面に描かれた。2021年、香川県立ミュージアムで開かれた展示「空間に生きる画家・猪熊弦一郎」で丸亀高校の生徒が約2カ月かけて制作した原寸大の複製を同館に設置した。
このほか、木工作家の山ノ内芳彦さん、縄文土器作家の小野真由美さんがイチョウの木と和紙を使って作ったドーム型の小部屋を設置するほか、子どもが思い思いの絵を描いたドームにも入ることができる。天井からつり下げられたハンギングチェアやカタルーニャのやじろべえも設置する。
大きな壁画の裏側はギャラリー空間として使う。現在は、上野誠さんの絵画展「子どもこそ抽象画を展」を開いている。
大槻さんは「子どもが寝転がり、ドームの中で遊びながら学べる場になってほしい。生徒会のように子どもたちが運営するような、子どもが自発的に何でもできる場になっていってほしい」と期待を込める。
開館時間は11時~16時。日曜・月曜・火曜休館。入館無料。