低身長の人のためのアパレルブランド「ひとつまみ」が現在、ブランドの立ち上げに向け準備を進めている。
同ブランド代表の村田明日香さんの身長は147センチ。小学生の頃からファッションに興味があり、中学生では自分で服を作ろうと考えていたという。高校卒業後の進路を、アパレルブランド立ち上げを念頭に入れ、服飾と経営のどちらを勉強するか悩んだ末、就実大学(岡山市中区西川原1)経営学部に入学。大学で、環境汚染や労働環境など企業倫理を学ぶ。同ブランドではアパレル業界が抱える課題にも配慮し、オーガニックコットンやリサイクルプラスチックを使った繊維などを選ぶようにしているという。
大学2年生の時、友人3人で「Project Dwarf(プロジェクトドワーフ)~小さき中にもおしゃれあり~」を立ち上げたが、就職活動時期に重なったことで同プロジェクトを中断した。自分の夢を諦めかけたが、誰もがファッションを楽しめる社会になってほしいという思いを大切にし、再度挑戦することにしたという。
村田さんは「背が低いだけで不便なことは多い。大手アパレル店の商品棚は、なぜかSサイズの服が上の棚にあることもある。XSサイズはネット販売しかしてないことや、149センチ~153センチ用に作られていて、148センチ以下の人のサイズは販売していないこともある」と話す。
村田さんによると、身長148センチ以下の人の日本の人口は約2~3%。約22万人が該当するという。村田さん自身の経験と低身長の友人から困り事や要望を集め、商品開発に役立てているという。
現在、20~30代の女性を対象とした「きれい目カジュアル」な洋服4点の制作を予定している。1点目は、低身長の人でもシルエットがよく見えるバランスを考えたフレアパンツ。ウエスト調整ができるようにして体型にかかわらず楽しめるようにする。2点目はウエストの位置が難しいトレンチコート。襟の大きさも少し小さくして、バランスを整える。3点目は、ティアードのあるワンピース。ウエストの高さ、ウエストの幅を低身長の人用に整えて制作する。4点目はマーメイドスカート。Aライン・Yラインと呼ばれる縦長なシルエットを作れるよう、ウエストの幅、スカート丈を調整する。
村田さんは「環境にできる限り配慮し、ファッションを楽しむことを諦めていた人へ選択肢を提供したい。不便な思いをしている人は低身長の人だけではないはず。高身長の人、障がいのある人、いろいろな人がいるはず。誰もがファッションを楽しめ、外出するのが楽しくなる社会がやってくることを望んでいる」と話す。
2024年1月には試着会を予定している。「ラインアップも、カジュアルやスポーティー、ボーイッシュなど増やしていきたい。試着できる実店舗をいずれは持ち、ユニセックスについても検討したい」とも。10月31日まで、クラウドファンディングで協力も募っている。