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岡山で「吉備の大古墳展」 造山古墳や楯築遺跡などの出土品125点

企画展「吉備の大古墳展」学芸員の瀬戸裕子さん

企画展「吉備の大古墳展」学芸員の瀬戸裕子さん

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 企画展「吉備の大古墳展」が現在、岡山シティミュージアム(岡山市北区駅元町)で開かれている。

特殊器台(レプリカ)

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 吉備は古代日本の地方国家で、現在の岡山県全域と広島県東部などのエリア。備前、備中(びっちゅう)、美作(みまさか)、備後と呼ばれる地域を指す。岡山平野には大型古墳と呼ばれる全長100メートル以上の古墳が8基、超巨大古墳と呼ばれる全長300メートル以上ある「造山(つくりやま)古墳」がある。

 同展は、発掘調査での出土品を中心に、奈良や大阪を拠点としていた大和王権の大王に匹敵する勢力が吉備にあったと考えられる資料125点を展示し、吉備の歴史を学べる企画。

 第1章は「古墳時代へのみち」と題し、津寺遺跡の鯨面(げいめん)土偶や南方遺跡の弥生土偶など、古墳時代以前の弥生時代の出土品や、楯築墳丘墓の御神体で帯状の曲線が描かれた石「弧帯文石(こたいもんせき)」のレプリカ、埴輪(はにわ)の原型といわれている「特殊器台」などの展示から吉備のルーツを伝える。

 第2章は、「金蔵山(かなぐらやま)古墳と湊茶臼山(みなとちゃうすやま)古墳の発掘調査」と題し、金蔵山古墳から出土した、柵形埴輪10点、建物形埴輪など人型ではなく建物型の埴輪と、石製勾玉(まがたま)などを展示。

 第3章は、「造山(つくりやま)古墳群の発掘調査」と題し、造山古墳とその周辺にある6基の古墳群を1991(平成3)年から現在までの発掘調査で得られた情報を元に展示。会場には、造山古墳のジオラマや復元工事した千足古墳の石室と仕切り石の実寸大の模型などの展示。

 「造山古墳」は、大山古墳(仁徳天皇陵)=全長486メートル、誉田御廟古墳(応神天皇陵)=同420メートル、石津ヶ丘古墳(履中天皇陵)=同365メートルに続いて、全国4番目の同350メートルの前方後円墳。上位3つの古墳は天皇陵であることから宮内庁が管理しているが、同古墳は吉備の首長の墓であることから、誰でも自由に立ち入ることができ、春は桜の花見ができる。

 第4章は、「巨大古墳の時代から律令国家へ」と題し、中央集権化が進む8世紀以降、古墳での弔いから仏教儀礼への変化に伴った寺院建立の歴史などを紹介する。

 このほか、会場の床面には5000分の1サイズの航空写真を貼り、古墳の名称や古代の海岸線などを記しているほか、240インチのディスプレーで映像を上映する。子どもから楽しめる9問の「大古墳展で、大コーフン?!クイズ!」も用意し、正解者には土偶や鳥装絵画などのイラストが描かれた全10種のステッカーのうち1枚を進呈する。

 同館学芸員の瀬戸裕子さんは「知れば知るほど、岡山のある吉備が古代からすごい場所だったことが分かる。会場内にあるヒントを元にクイズを答えてもらい、古墳をもっと身近に感じてほしい。今春完成したばかりの造山古墳群のジオラマを見て、入れる古墳なので、ぜひ現地に行って古代を感じてほしい」と話す。

 岡山市埋蔵文化財センターの辛川あかりさんは「造山古墳は規模や出土品から他の天皇陵と比べても遜色がない。藤ノ木古墳からも出土している位の高い人だけが持っていた太刀の飾り金具(捩り環)が作段古墳からも出土している。上空から赤外線を飛ばして行うレーザー測量から履中天皇陵と造山古墳の形状がほぼ一緒であることも分かっている。宮内庁治定でないことから、今後の発掘調査にも期待している」と話す。

 開催時間は10時~18時。月曜休館。入館料は、一般=310円、高校・大学・専門学校=210円、中学生以下無料。来年2月12日まで。

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