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岡山に隈研吾さん監修の屋根の展示場とコワーキング施設「ひとやね」

複合施設「ひとやね」を経営する植田板金店の植田博幸社長と監修した隈研吾さん

複合施設「ひとやね」を経営する植田板金店の植田博幸社長と監修した隈研吾さん

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 屋根と小屋の展示場とコワーキングスペースの複合施設「ひとやね」(岡山市北区古新田)のオープニングセレモニーが1月10日、開かれた。経営は植田板金店(中区藤崎)。

屋根と小屋の展示場とコワーキングスペースの複合施設「ひとやね」室内1

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 同社は1976(昭和51)年、板金店として創業。2010(平成22)年、植田博幸さんが父から受け継ぎ社長に就任。雨の日に板金職人が室内で作ることで安価で丈夫な小屋を提供する事業「小屋やさん」を2017(平成29)年に始めた。同年の「第1回岡山イノベーションコンステスト」イノベーション部門で大賞受賞。翌年発売した小屋「小屋のワ」と、2022年に発売した木材を使った小屋「木庵」は、建築家の隈研吾さんがデザインを監修した。

 元飲食店だった場所を隈さんが設計・デザインを監修した同施設。建物・外壁には、それぞれ39種類の屋根材・外壁材を使い、夜はライティングを行う。室内には、4棟の小屋、屋根のかかったスペースがあり、19種の屋根材、18種のとい、6種の外壁材、8種の塗装を見ることができる。屋外には13棟の小屋を展示し、建物内部からウッドデッキでつながっている。トイレの洗面台は、屋根材に使う銅板と緑青を組み合わせて作った。

 植田さんは「展示している商品には価格を表示していない。屋根材や壁材の展示場として、消費者に正しい情報と知識を提供する場として運営する。職人の技術を伝え、やりがいや誇りを作り続けたい」と話す。

 室内に設けた小屋は、8人用の会議室と4区画に分けられた個室として活用。中央部にはウッドチップを敷き詰めた中庭と取り囲むようにウッドデッキを敷き、2台の卓球台など46席のコワーキングスペースを設ける。駐車場55台分を用意。

 「コンテストで受賞してから多くの人とのつながりができ、共に学ぶ機会が生まれ、新たな事業も作ることができた。私と同じように2代目や3代目の『跡継ぎ』のコミュニティーも盛り上がっている。スタートアップや新規事業、スモールビジネスの拠点となるような場にしていければ」と植田さんは意気込む。

 隈さんは「屋根を感じられる空間を作った。緩やかに仕切られた軒下空間はなぜか安らぎを感じる。スタートアップや起業を目指す若手とベテラン経営者が交り合う開放感の空間で新たなにぎわいを作り出す。『一つ屋根の下から始まる』というストーリーから想起して施設名を『ひとやね』と名付けた」と話す。

 子ども連れでも働けるよう、横に移動して楽しむ8メートルのボルダリングコーナーも備えた。ノンアルコールドリンクやおつまみなども用意し、交流時間「ノンアルバ」では利用者の交流を促す。時間貸し、一棟貸しのプランもあり、勉強会やセミナーなどの開催も予定している。

 展示場としては1月26日、コワーキングスペースは3月に、それぞれ運営を始める。営業時間は9時~18時。18時以降は利用者の交流時間として使用する。

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