書店を併設するデイサービス(通所介護)施設「Soda(ソーダ)」(総社市総社3)が現在、8月のオープンに向け準備を進めている。
運営する合同会社「28」(同)は、県立広島大学(広島県三原市)で理学療法を学んだ土井脩平(しゅうへい)さん、中山千香(ちか)さん、小武(おだけ)悠さんの3人で設立。大学卒業後、土井さんと中山さんは病院で理学療法士として勤めた。小武さんは、学生の時からヘルスケア分野の企業やロボットベンチャー企業で事業に関わり、現在はデザイン会社で、地域の場づくりを目指した飲食店や宿泊施設などの運営を行っている。3年前、「利用者一人一人がやりたいことに挑戦できるデイサービスを作りたい」という土井さんの呼びかけで集まり、準備を進めてきた。
土井さんは卒業後、けがや病気で身体に障がいを持った人のリハビリを病院で担当。患者が無事に自宅復帰することをうれしく思う一方で、けがの再発を恐れて趣味や夢を諦める姿を多く目にしてきたと言う。より日常的な支援をするデイケア担当へ変わったが、決められた工程に沿って日々を過ごす利用者の姿に違和感を感じ、自分らしい暮らしを支援する施設を開きたいと考えるようになった。
利用者の旅行支援などを行う介護事業所「P-BASE」(愛知県豊田市)へ独立を前提に転職。利用者がやりたいことへの挑戦することで、できることが増え、元気になる様子を目の当たりにした。土井さんは「パーキンソン病を患い日常生活もままならない女性と、約50年前に新婚旅行で訪れた上高地旅行に付き添った経験がある。行きたいという強い気持ちと、いつもと違う景色や環境の中、歩行器を使ってすたすたと歩く姿を見て、人はやりたいという気持ちでこんなにも変われると感動した」と振り返る。
同施設は、備中国総社宮(総社市総社2)近くにある建物を改装してオープンする。以前、弁当や和菓子の箱などを作る折材店だった建物には書店や駄菓子店を併設し、地域の子どもが立ち寄れる空間を設ける。メインホールにはテーブルを囲んで食事をできるスペースを準備するほか、のこぎりやくぎなども用意。もの作りに没頭できるアトリエ、ソファを置いたレトロな雰囲気のあるラウンジを設けるなど、中に入ってみないとデイサービス施設だと分からないような、「開かれた空間」を目指す。
土井さんは「介護は将来多くの人が関わる世界だが、閉じられた業界になっていることが多く、子ども、大学生など地域の若者とも身近に交流できる場所にしたい。屋号の『ソーダ』には、『そうだ、一緒にやってみよう』とアイデアを膨らませ、一人一人のやりたいことをかなえられるポジティブな場所にしたいと思って名付けた」話す。
クラウドファンディングサイト「READYFOR」で6月28日まで、協力を呼びかけている。