岡山市南方に「スロウな本屋」(岡山市北区南方2、TEL 086-207-2182)がオープンして2カ月が過ぎた。
空襲を逃れた数少ない日本家屋を約1年かけて改装し、4月3日にオープンした同店。「勝ち負けではなく、成功失敗でもない、ゆっくりした人生を過ごしてほしい」という思いから屋号を考えたと店主の小倉みゆきさんは話す。
店内には約800冊の本をそろえる。「大型書店に行けば何十倍もの本があるが、たくさんの本からどう選んだらいいのか、何を読んだらいいのかという問いに丁寧に応えている」という。
7年ほど前から「大人( )絵本の会」を月1回開いている小倉さん。( )は「の」「なのに」「だからこそ」など自由に入れてもらう。参加者は1人1冊、絵本を持ち寄り、本の説明をしたり読み聞かせをしたりする。伝え方は自由。「参加者一人一人の人間性やバックグラウンドが垣間見えるのが楽しい」とも。
大型書店に勤務していた小倉さんは児童書を担当していたこともあり、絵本のコーナーは特に充実させた。押し入れを活用した同コーナー。上の段には、大人も欲しくなるような絵本を並べ、下の段に入り上を見上げると子どもちが作った、さまざまな色や形のマグネットがくっつけてある。「来店2度目のお子さまは押し入れ下の段に直行する」という。
「絵封筒をおくろう」(きたむらさとし著)からインスピレーションを得て、使われなかった封筒に絵を施し再生する「封筒再生委員会」も立ち上げた。「非電化思考のすすめ」(藤村靖之著)と出会い、その後カーテンを作ることになったとき、電動ミシンではなくシンガーの足踏みミシンを購入したことから「ミシン部」も始める。「随分昔に出会った本から教えてもらうことがある。本はゆっくり効いてくる。だから面白い」と小倉さん。
レジ横にはオーガニック・フェアトレードの材料を使った「のらくら堂」の「本のクッキー」など4種類を置くほか、2カ月に1度、「菓子工房ぽわん」の季節のチーズケーキを並べる。
営業時間は11時~19時。火曜定休。