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岡山の「小屋やさん」が建築家・隈研吾さんとコラボ 「チャレンジの連続だった」

「小屋のワ」の前でサインTシャツを持つ植田博幸さん(左)と中山陽平さん(右)

「小屋のワ」の前でサインTシャツを持つ植田博幸さん(左)と中山陽平さん(右)

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 屋根工事などを行う植田板金店(岡山市中区藤崎、TEL 0120-76-3686)が建築家の隈研吾さんと共同開発した「小屋のワ」の先行販売が、岡山で8月から始まる。

東京から戻ってきた「小屋のワ」

 デザインを担当した隈さんは、東京2020オリンピック・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場の設計にも携わり、近年はアウトドア用品の「snow peak(スノーピーク)」(新潟市)と共同開発したモバイルハウス「住箱(じゅうばこ)」も手掛けている。

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 1976(昭和51)年に創業し、板金による屋根や外壁の施工を行う同社は、「小屋やさん」の屋号で410種の小屋の製造・販売も行っている。2017年には小屋の展示場「小屋の森」(南区古新田)を開設した。

 「小屋のワ」の大きさは約6畳。奥行き2.15メートル・幅4.65メートル。基礎を打つ必要はなく、置くだけで使える。外壁にはガルバリウム鋼板を使い、職人がタガネを用いてパターンを打っている。このパターンは壁に加わる力を見える化したもの。力の加わる部分を高密度にしているので、強度も上がっているという。部屋の内部には岡山県産のヒノキを使っている。通常、ヒノキは高額であるが、真庭市で採れたヒノキの集成材を使うことで価格を抑えた。前面は全て開口部となっており、部屋の奥行きとほぼ同じ約2メートルの大きな庇(ひさし)を配置。半透明な庇は自然光が差し込み、空間を広く感じさせるという。

 同社社長の植田博幸さんは「チャレンジの連続だった。通常、既製品を使って安価にニーズに応える仕事をしてきた。隈さんはあるべき姿を、使える素材を使ってどう実現するかを探していく。コストを上げない工夫とより良い空間を作り出すためのアイデアは、隈さんと熟練した職人がいなければできなかった」と話す。

 隈さんにメールでコンタクトを取り、コラボ企画にこぎ着けた営業担当の中山陽平さんは「完成した時はうれしくて涙が出た。事務所としての用途だけでなく、グランピングなどでも使える。ヨガや座禅なども楽しめるのでは。隈さんは雨が降っても楽しいと教えてくれた。屋根と庇の素材の違いから雨音が単一でなくハーモニーに聞こえる」と、小屋に対する新しい可能性を話す。

 8月から8棟を岡山県内で先行販売し、10月から50棟を販売予定。