「岩本象一と奏でる建物楽譜ワークショップ」が2月18日・19日、岡山県天神山文化プラザ(岡山市北区天神町)で開催される。
同プログラムは、パフォーミングアーツ2020のプレ第3弾。第1弾は昨年11月に4日間、谷賢一さんと「演劇合宿」を行った。第2弾は今年1月27日から1週間、黒田育世さんと「ソロレパートリーを踊る一週間」を開催。
今回は、インドネシア国立芸術大学ジョグジャカルタ校に留学経験のあるガムラン奏者である岩本さんが、会場となる建物や天神山からインスピレーションを受け構成した楽曲を参加者と共に作り上げていくワークショップを行う。
モダニズム建築の巨匠と呼ばれる建築家、前川國男が手掛けた同建物は1962(昭和37)年6月、岡山県総合文化センターとして建てられた。フランスの建築家ル・コルビュジェの弟子だった前川は、現代建築の五原則を見ることができる。前川は岡山県庁舎(内山下2)、林原美術館(丸の内2)も設計している。
楽曲は4楽章で構成。岩本さんのイメージは「ナマズの住む池に鳥が魚を捕まえにやって来る。鳥は羽ばたき空を巡り、やがて成層圏を目指す」だと話す。
第1楽章は、4つのテーマで同時多発的に音を奏でる。会場となる1階にあるピロティには、2017(平成29)年、倉敷出身の岡部玄さんが流木で作った作品「天神鯰(なまず)」、太陽の光を表しているかのような「黄色い天井」、床に貼られているタイルは魚のひらきの形状に似ていることからニシンの骨という意味の「ヘリンボーン」がある。2階へつながる階段の手すりの支柱をスリットドラムのようにして楽器にすることも考えている。
第2楽章は、彫刻家・山縣壽夫が竣工時に制作した、1階ピロティから屋上へかけて壁のレリーフ「鳥柱(ちょうちゅう)」を使って音を鳴らす。事前にレリーフの模様や位置によって各人が奏でる音を決めておく。岩本さんがサーチライトを当てた場所によって奏でる音が変わり、曲にしていく。
第3楽章は、同建物が上から見ると「T」型をしていることから、インドネシア語で「3」を表す「TELU」を発想し、ガムランの3番目の音「F♯(シャープ)」の音を使う。館内放送で3拍子のテンポを流し、「歩いている時は音を鳴らす」「曲がる時は音を鳴らさない」「階段を1段上がるごとに半音ずつ上げる」「階段を1段下がることに半音ずつ下げる」のルールを設け、各人が自由に館内を歩き回る。
第4楽章は、「成層圏ブルー」と呼ばれる2階天井からインスピレーションを得て、岩本さんが作曲する。
岩本さんは「これまでダンスやライブペインティング、映画などと一緒に即興でガムランや打楽器の演奏をしてきた。建物や空間から刺激をもらい昇華し新しいものを作る。2度はできないワークショップとなる。音楽が好きではない人や型に縛られない高校生や大学生にも参加してほしい。楽器も貸し出すが、楽器を持っている人は楽器を、楽器以外でいい音がする何かを持ってきてもらってもいい」と話す。
開催時間は18時30分~21時30分。参加費は、大人=3,000円、学生=2,000円。定員30人。