「利守酒造」(赤磐市西軽部)の日本酒3種が、NPO法人ベジプロジェクトジャパン(東京都台東区)のビーガン認証を受けた。
同NPOが定める「ビーガン」とは、原材料として肉魚介類卵乳製品はちみつなど、動物に由来するものを含まないことが確認できたものと定義している。利守酒造の利守弘充専務によると、醸造用アルコールと米を搾(しぼ)る時に使われるろ過材にビーガンに適さない物もあるという。
認定を受けたのは、純米大吟醸「赤磐雄町」、山廃純米吟醸「時代おくれ」、純米吟醸「金麗」の3商品。いずれも純米酒で醸造用アルコールを添加していない。2003(平成15)年にろ過材を見直したことからビーガン適用の物を使っていたというが、ビーガン適用でない物も体に害を及ぼすような物ではないという。
同社は1868(慶応4)年に創業。「地米・地の水・地の気候風土」がそろって地酒が作れるという考えから、自社で約100俵の雄町米を栽培している。1924(大正13)年から約20年間、酒蔵のある旧軽部村の村長・加賀美章が、雄町米を全国に伝え広めた。背丈が160センチほどになり倒れやすいことや収穫量が少ないことから、時代と共に雄町米を育てる農家が減っていた。1970年ごろ、4代目社長の利守忠義さんが近隣の農家などを説得し、雄町米を復活させたという。
利守弘充さんは「オリンピックイヤーに合わせてビーガン認証を取得した。外国人だけじゃなく、ビーガンやベジタリアンの人にも安心して日本酒を楽しんでもらいたい。日本酒を通して日本の文化にも興味を持ってもらたら」と話す。
商品はインターネットによる販売も行っている。