岡山駅西口の奉還(ほうかん)町商店街2丁目アーケード内で12月7日から、アートプロジェクト「奉還町記憶ツリー」が行われている。
商店街を一本の木に見立て、中央の通りを木の幹に、そこに並ぶ店舗を枝葉に例え、店舗前にメッセージが書かれた緑色の葉っぱ型のパネルを置き、店内にはメッセージに秘められたストーリを掲示。各店のこれまでの物語や思いをアピールしている。約30店が参加する。
東西約1キロにわたる同商店街は、明治初期に廃藩置県で失職した武士たちが退職金である「奉還金」を元に商売を始めたのが名前の由来と言われている。当時から続く店は1店のみだが、戦前・戦後に開業した店や、若者好みのカフェや古着店など個性豊かな店が混在。時代とともに様変わりしながら市民の生活に密着した人情味あふれる商店街の姿をとどめている。
同イベントは、市が街中でアートプロジェクトを実施する人材養成を目的に今年4月に開講した「まちアートマネジャー講座」の受講生のアイデアを元に企画。受講生有志らが店へのインタビューを重ね、秘められたエピソードや記憶を拾い上げてまとめた。初日となる7日は、葉っぱメッセージ店舗を巡る「記憶ツアー」や、3店舗の前でショートストーリーの「朗読会」なども行われた。
岡山市文化振興課の風早孝将さんは「派手なパフォーマンスは無いが、店と客との関係性を育むきっかけになれば」と期待を込める。「まだまだ知らない物語がたくさんある。店の人と対話して、ショッピングセンターでは味わえない楽しさやコミュニケーションを図ってほしい」とも。
開催時間は各店の営業時間内(28日のみ16時まで)。今月28日まで。