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岡山経済新聞「オカケイ・カレー部」 第1回はパイシーパイス

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 岡山経済新聞(オカケイ)では7月、「オカケイ・カレー部」を発足させました。

 なぜ、今、カレー部なのか

 岡山には、OKAYAMAまちおこし隊による「岡山カレー」がある。桃のチャツネを使ったカレーを販売する約40店舗が紹介されている。岡山にはそれ以外にもたくさんのカレー店があり、カレー好きが多い街とも言える。

 オカケイでは、これまで多くの飲食店を取材してきた。編集部にもカレー好きなメンバーもいるが、カレー好きの人たちのカレーに対する熱い思い、カレー店の情報量など、カレーの摂取量は勝てない。そこで、カレー好きと一緒にカレーを食べに行き、岡山カレー事情など、いろいろな話を聞く企画を立ち上げた。それが「オカケイ・カレー部」。

 今回の店は「パイシーパイス」

 同店は、インドのケララ州出身のシャビン・ジャバーさん・田畑智美さん夫婦が、岡山市役所の近くに2017(平成29)年にオープンした南インド料理店。インドのケララ州は、インドの最南端・西側に位置する。南インド料理とはどんな料理なのか、気になります。

 店名も気になる

 店の入り口付近には、「Spicy Spice(スパイシースパイス)の文字。英語表記は「S」入りで、日本語表記は「S」抜きのパイシーパイス。「S」抜きにした理由は、社名占いの結果。「ス」が入ると字画で凶。「ス」が入ると大吉に真反対。深い理由があるのかと思いきや、占いでした。

 今日のカレー部員は4人

 インドへの旅行経験者はそのうち1人だけ。カレーを食べつつ、インドに思いをはせる部員たち。ミールスは、南インド料理の象徴的な食事スタイル。真ん中にご飯(インド米)、スパイスとトマトの辛さと酸味のあるラッサムスープ、豆カレー、トウガンを使ったヨーグルトカレー、ナスとジャガイモのウッペリ(蒸し煮)、ニンジンとインゲンのトーレン(炒めもの)、生野菜、マンゴーのピクルス、豆粉の煎餅が丸い銀の皿(ターリー)にのってやってきます。

 手で食べるとおいしい?

 4人のうち2人が手食。手で食べることに、少し抵抗があるという部員も。スプーンの金属が舌に触れないので、カレー、スパイスの味がダイレクトにやってくるという声もあった。1人の手食派は、カレーの量に合わせてご飯を食べ進めると、ご飯の配分が少な目になり、いくらでもお代わりをする羽目になるという。カレーはスプーン食も手食も配分が命であるとも言える。

 スプーンの大きさは、どんな人に対しても同じ大きさ。手の大きさは、体の大きさにある程度比例している。大きな体の人の手は大きく、小さな体の人の手は小さい。手食の場合、自分の体に合った量を口に運べるとも言える。手食初心者は、上手に口に運ぶことができないが、適量を徐々にわかっていくのだと思う。少量ずつ食べることで、いつも早食いの私だが、いつもより時間をかけて食べることができ、とってもゆったりした気分になった。

 カレー部員に聞いてみる・その1

 いつから、カレーを好きなんでしょう?

 「子どもの頃に父がナンを提供する店に連れていってくれたのがカレーの原体験。東京出身なので、大人になってからは、上野あたりとか御徒町のインド料理店はよく通った。私調べですが、ドーサを提供する店はおいしい店だと思っていい。岡山だと『ミレンガ』しか知らないけど。カレー店でお酒を飲むのも好きです。サモサをつまみにして」

 なかなか通な香りがしますね。インドのお酒ってどんなのがあるのか、興味が湧いてきました。ドイツ・ベルリンに住まれていたことがあるそうですが、ドイツではカレー食べていましたか。

 「ベルリンでもカレーはありました。インド人が経営している店。話がちょっとそれますが、ベルリンはベトナム人が多いのです。そのためか、アジア人を見ると、チャイニーズ?と聞かれるより、ベトナミーズ?と聞かれるんです。ベトナム料理店はたくさんありますが、ベルリンにはチャイナタウンがない珍しい都市なのです」

 それはカルチャーショック。世界中の大都市にはチャイナタウンがあるものだと思っていました。中国語が話せたら、どこの国行ってもなんとかなると思っていたのに。

 「今は、県北に住んでいるので、岡山や倉敷に来るとカレーが食べたくなります。今、食べなきゃって気持ちになる。パイシーパイスのカレーは、ココナツの優しい甘さとエビのうまみが最高。日本と同様に蒸し暑いであろう南インドへ脳内トリップさせてくれますね。パパド(豆粉のせんべい)の塩味がアクセントとなり、食欲が止まりません。実は、インド・スイーツも気になっていて、以前、友人からお茶しようと誘われて、行ったのが『チャイヤ』だった。カルダモンラッシーがとてもおいしかったことを覚えている。カレーの世界は、カレーだけじゃない」

 確かに。お酒だけじゃなく、スイーツの世界も探求してみたい。

 カレー部員に聞いてみる・その2

 いつから、カレーを好きなんでしょう?

 「2年くらい前までは、どこへ行ってもラーメンばかりを食べていた。今年は、ファジアーノ岡山がJ1昇格したこともあり、全国にサッカー遠征の旅をする。ラーメンに飽きてしまったので、今は訪れる街ごとに、カレー店を探しては食べている。最近は、ルー・シャバシャバ系のカレーが特に好き。『SPICE32』『curryshop Laboratory』『サティスファクション』『わすれんぼう』の4店のうち、週1回はどこかのカレー店で食べている」

 「実は、パイシーパイスの開店準備中からブログを見ていた。でも来るのは今回初めて。スタッフがカレーの説明をしてくれるのは、インドカレー初心者にも優しい印象。内容は覚えられませんでしたが…。味の組み合わせが無限にあるように感じ、規定されない自由な感覚がカレーの醍醐味(だいごみ)だと改めて感じた。カレーを飽きずに食べてしまうのは、何度食べても同じ味じゃないからかもしれませんね。後は、居酒屋『酒仙忘』で〆のカレーを食べることもありますし、スナックでもカレーがあれば食べに行く」

 カレーの多様性

 皆さん、よくご存知ですね。「カレー」と言っても、インド、スリランカ、タイ、欧州、家庭のカレーに、カレーハウスCoCo壱番屋(ココイチ)までそのバリエーションがすごい。ちなみにココイチはインド・ニューデリーにも出店しているとか。その言葉から連想されるカレーは、人それぞれに違う点も興味深い。

 カレー部員に聞いてみる・その3

 レストランでアルバイト経験のある部員が、こんな話をしてくれた。皿にのる魚料理とマッシュポテト、ほうれん草、そしてソース。魚を切り分けソースをつけて食べてみる。ピンクペッパーを少しのせてまた口へ運ぶ。次はマッシュポテトと一緒に食べてみる。少しずつ味に変化を加えながら、多くのバリエーションを楽しむのだとシェフから教わったそうだ。カレーの場合は、ベースにある深みと辛み、酸味、苦み、甘みのカオスに飛び込んでいく。鼻から抜けるスパイスの香りだけを残して、皿は空っぽになる。

 手食をした2人は、2日間ほどは右手がカレーの匂いを楽しむこともできる。カレーに限ったことではないが、料理のおいしさを言葉で伝えるのは難しい。カレー部の裏の目標として、おいしいを伝える研究をしていきたい。

 カレー部は誰でも入部できるオカケイの部活。今後、カレー部以外も発足するかも。

 次回リポートは2025年8月20日を予定。

(文=岡山経済新聞・松原龍之)

 パイシーパイスを取材した記事(2019年09月13日掲載)
 岡山・南インド料理店がスパイスカレーブック 家庭で子どもと食べるインドの味

 

 

 

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